未知の世界7
『じゃあ、かなちゃん。ここで待っていてね。』
久しぶりのやごな病院での待合室。
相変わらずの賑やかさに懐かしさを感じる。
その待っている時間も悪くはないくらい、居心地がよく感じる。
少しして、診察室から私を呼ぶ看護師さん。
『お久しぶりですね、かな先生。』
と知った顔の看護師に挨拶をされる。
「お久しぶりです。今日からまたお世話になります。」
と言い、頭を下げると、診察室の中に案内された。
いつもの診察室で、いつもの丸椅子に座る。
お父さんが白衣を着て来るのかな?と思いきや、
今日の外来は…
『久しぶりだな、佐藤。』
「お、お久しぶりです。石川先生っ。」
思いもよらない人が現れて、挙動不審になってしまった。
『俺で驚いたか?』
軽く頭を振って答える。
『今日は俺が外来なんだ。
まぁ、他の先生方とも一緒に診て行くけどな。』
そう言いながら、さっそく聴診器を耳に当てる。
『じゃあ、服を上げて。
深呼吸して…』
スーハーと何度か深呼吸をする。
正直、緊張の方が勝ってしまう。
『いい音になってきたな。
まぁ、肺の方は相変わらずだけどな。』
そう言いながら聴診器を片付けて、リンパや喉を確認して、一通りの診察を受けた。
『今日一日で検査を終わらせたいから、早速、喘息の方を検査しようかな。』
と検査キットを用意される。
いつも通り大きく息を吐く。
それが終われば、心臓をエコーで確認。
ついでに心電図。
最後に血液検査もバッチリ終えた。
『よしっ、お疲れ様。最後は今までの疲れをしっかり取ろうな。』
と肩に手を置かれ、何事かと不安に思っていると。
外来の処置室へ連れて行かれ…
『はい、どうぞ。』
ポンポンとベッドを叩かれ、ここに寝ろと言われる。
その仕草で何をされるのかすぐに理解する。
「いやぁ、その…
そんなに疲れてないですし。
まだ家で療養させてもらえますし。
ですので…その…」
『早くしろ…』
顔はにこやかにしているけど、その声を聞けばもう拒否できない。
「はい…」
ベッドに寝ると、さっそく腕に消毒を塗られ、すぐさまブチッと刺される。
石川先生の点滴で痛い思いをしたことはないけど、やっぱり体に針を刺すって…痛いし、怖い。
『ここでしっかり休んでいけ。』
そういうとカーテンを閉めて、どこかへ行った。
できることなら…家で休みたい。
休みたい気持ちがあるけど、ここは職場で。
やはり仕事のことが頭をよぎる。
アメリカでのことを思い出して、色々考えているとすっかり目は覚めていた。