未知の世界7
『……ぉいっ!
おーい!さとー!』
白い天井をあれこれ考えながら見つめていると、
自分を呼ぶ声と同時に、目の前に石川先生が現れた。
ハッ
手に打たれていた点滴の残量を見ると、ほとんどなくなっている。
1時間くらいは経ったのかな…
『寝もしないで、ずっと天井見て…
何考えてたんだ?』
と体を起こす私の背中に、手を添えながら顔を覗き込む石川先生。
大抵は放置されているけど、私の心の中のことは、お見通しのようで、何か悩んでいたり息詰まっているときは、尋問してくる。
私が石川先生の下で指導を受けていた時、持病のことを何一つ話さなかったことで、私は聞かなければ何も答えない人間だと思われているようだ。
そしてそのことで、石川先生は私の言動や表情を注意深く見て来るようになっていた。
久しぶりに、すごい観察されていることが分かると…何だか恥ずかしい気持ちにもなってくる。
大した悩みなんて、一つもないし、恥ずかしさのあまり下を向く。
『ううん?』
さらに顔を近づけて、私の表情を読み取ろうとしてくるけど、恥ずかしさの限界で、両手で顔を覆う。
「な、何もないですよっ!」
おかしな態度になり、さらに怪しまれただろうけど、それ以上は言及されなかった。