未知の世界7

リビングにはお母さんだけじゃなくてお父さんも孝治さんもいる。





いつの間に帰ったのかな…。






『よく寝てたね、かなちゃん。
今日は一日検査お疲れ様。』






「…はい。お父さんもお仕事お疲れ様でした。」







部屋で気づいた頭痛が、少しずつ大きくなっていることがわかる。






薬、飲んでおけばよかったかな…






でも、今飲むのも…な。みんな…いるし。





そんなことを考えながら、お母さんに出してもらった食事に手をつける。






寝起きで食欲がわかないかな…と思っていたけど、






一口汁物を飲むと、お腹が相当空いていたのか、手がよく進む。







そうだ…今日、お昼をまともに食べれてなかった。






検査もお昼を過ぎて、帰ってきて、そのまま寝室に行ってこの時間。






お昼を過ぎてたから、お母さんからは、ご飯のことを言われなかったけど。






『よく食べれて、えらいわね。』






お母さんの嬉しそうな声。





その後に聞こえたのは、





『どうせ昼、食べてないんだろ?』





う…孝治さんの声に手を止める。






「は、はい…」





そう答えると、お父さんとお母さんがハッとした顔で私を見つめる。






ん?





何かな?






と分からない顔でいると。






『ということは、昼の薬は飲んでないんだろうな。』






孝治さんの一言で、しまった!と思った。






私の治療に対してとても厳しいお父さんに、アメリカ生活で術後、薬の管理をしてくれてたお母さん。





いつもみたいに顔が笑ってない。







「ごめんなさい…」







そう言って、席を慌てて立つ。






そうだ、この食事の前の薬も…忘れてた。





そそくさと寝室へ向かい、今日もらってきた薬を確認に行った。






ヤバい…あの雰囲気。孝治さんだけじゃない、怒ってるの。






私はこれからどうやってあそこに戻ったらいいのか…






「はぁ」






溜め息しか出ない。





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