未知の世界7
孝治さんとの寝室ではなくて、自分の部屋に来た。
さすがにあの雰囲気で寝室で寝るなんて、無理。
ベッドに入って布団に包まる。
光も音も…それから臭いも。
何もかもシャットダウンしないと、頭痛は続く。
「ゔぅ〜ん…」
痛い…
部屋に来て、だいぶ経つけど、まだ痛い。
頭を両腕で覆ってみるけど、何も変わらない。
割れてしまうんじゃないかな…
そんなことを考えていると、
ガバっ!
布団がめくられ、明るい部屋に出た…。
『何やってんだ?』
久しぶりに聞いた、この上なく低くヤバい時の孝治さんの声。
『なんでこっちで寝てんだ?』
そう言って顔を覗き込まれる。
光が目に入らないように、両手で目を覆うけど、
力ずくで両手は離され…
眩しっ!
目の奥底から強い痛みが舞い落ちる。
「ゔゔ…。」
言葉を返せば痛みが増すのは、充分わかってるので、今は少しでも痛みを和らげようとする。
『大丈夫か?』
目を瞑っているけど、至近距離で孝治さんが私の顔を見ていることは感じ取れる。
軽く頭を左右に振るけど、少しの動きで頭は痛む。
『痛み止めは?』
もう一度、頭を振る。
孝治さんは私から離れて、薬の袋から頭痛薬を探している。
ないんだけど…伝えられない…。
『ないのか?』
という声に頷いて答える。
部屋をすぐに出て行く孝治さん。
少しして戻ってくると、
『これでいいから、飲め。』
起こされながら、目を少し開けると、目の前に出された薬と水。
震える手で薬を受け取ろうとすると、孝治さんの手が薬をスッと手にして、私の口に運び、すぐさま水を飲ませてくれる。
『すぐには良くならないだろうけど、飲まないよりいいだろう。』
再び私をベッドに寝かせて布団を掛けた。
『今日はここで静かに寝るんだな。何かあれば携帯で電話して。』
そういうと私の枕元に携帯を置き、部屋から出ていった。
ひたすら目を瞑って、痛みが和らぐように布団に潜った。