未知の世界7
マンションを飛び出して、しばらくして足元を見る。
「ぃたい…」
靴を履くことを忘れて飛び出していた。
着いたところは近くの公園で…
ブランコに座って…
私の居場所って、どこなんだろう…
下を向いているせいか、目頭に涙が溜まる。
『はぁはぁはぁ…
言われた通りだ…。』
息を切らす声で前を見る。
進藤先生…
『孝治くんにここじゃないかって言われて、追っかけてきたよ。』
さらに涙が溢れてきそうで、すぐに下を向く。
『孝治くんが…すぐに追いかけようとしたけど。
きっとまた、お互い落ち着かず、ぶつかり合うくらいなら、僕が来た方がいいと思ってね。』
そういうこと…
下を向いたまま進藤先生の話を聞く。
『こんな暑い中、このままって訳にはいかないから、
よかったらうちに来ない?』
え?
と驚きを隠せず、顔を上げる。
『孝治くんにも、許可はとってあるから。』
一気に話し終えた進藤先生は、最後に深呼吸をする。
『ふぅ。速かった…』
意外と走れた自分に驚いたけど、速いと言われて、前みたいに体力が戻りつつあることを、頭の片隅で確信する。
『いこっか…?』
今居場所のない私は、進藤先生に立ち上がるように促されるがまま、ブランコを降りる。
『ほら、これ。』
そう言われて出されたのは、私の靴。
何も履いてないことに気づいて持ってきてくれた。
出された靴に足を通す。
「痛っ!」
足の裏が…痛い。
『そうだよね。こんなに走ったからね。』
そう言われて、公園の隅にある水道で足を洗うことになった。
「あぁ…痛い。」
『はは…よくここまで走れたね。』
いつもの調子で笑う進藤先生が、私の足を洗いながら私を見上げる。
持っていたハンカチで足を拭いて、靴を履く。
痛いのは多少和らいだけど、痛いものは痛い。
ゆっくり、ひょこひょこと歩きながら、進藤先生の腕に捕まりながら歩いた。