未知の世界7
いつの間にか寝ていると、額に冷たい物が当たり、目を開ける。
「ん?」
額に手をやるとタオルが置かれている。
『熱はないけど、顔が熱そうだったからさ。』
そう言う進藤先生は、私が外したタオルを額に戻す。
「あ、あの…進藤先生?」
『ん?』
「もう帰りますっ!」
そう言って思いっきり体を起こした瞬間。
ぐわんっ!
体が前後に揺れた。
「ぁ… 」
畳と襖が揺れてる。
それも激しく…
『かなちゃんっ!ゆっくり横になるよ。』
そう言われて何が起きたのか、ただただ、私の周りが揺れている。
進藤先生に横にさせられても、天井がぐるぐる回る…
う…これは周りが回ってるんじゃなくて、私の目が回ってる?
目を抑えて何も見ないようにするけど、真っ暗闇の中でもぐるぐるしている。
『かなちゃん、目眩が酷そうだね。』
進藤先生から私がどう見えてるか分からないけど、私は目が開けられない。
『どう?治ってる?』
「…ぜん…ぜん…。」
そう言うことしかできない。
目が回ってる、気持ち悪い…
早く鎮まって!
私が目眩と格闘している間、進藤先生は誰かに電話をしている。
孝治さんだろうか。
「うぅ…」
そんなことよりも気持ちを整えることに集中した。
『かなちゃん、他に症状はある?』
電話途中に尋ねられる。
「きもち…わるぃ…。」
目が回るせいか吐き気がしてきた…。
『わかった、袋持ってくるから、少し待っててね。』
携帯を耳に当てながら、袋を取りにいく進藤先生の後ろ姿を、薄め目で確認しながら再び目を瞑る。
それから気持ち悪いのと目が回るので、心も体も忙しく動いて…
気づくと病院に向かっていることがわかった…。