未知の世界7

翌日…





アイマスクを外せるようにはなったが、まだ寝ていても船酔いしているように、体が揺れてるように感じた。







はぁ…昨日うまく撮れなかったMRIを、また今日もやるなんて…





無理だって…






どうやってMRIを延期できるのか…色々考えたけど、私の意見なんて聞いてもらえないだろうな。






そんなことを考えていると、






ベッドから降りた。







ふらふらする体で、ゆっくり立ち上がり、ゆっくり歩き始めた。







もう既に回診の時間も過ぎて、廊下には人通りも増え始めていた。






ふらふらする体でトイレとは逆方向の階段の方へ。






私の入院している階は脳神経科。






研修で来たくらいで、あまりよく把握してないけど、違う階とそんな配置は変わらない。






右へ左へ、前へ後ろへ…ふらつきながら歩いていると、






『何か用事かな…?』






前から聞き覚えのある声で、ゆっくりと尋ねられた。






『こっちには、何もないよ。』





一人が答えると。





もう一人が、






『あるのは階段。何しに行くんだ?』





最後は語気強めで。





「う…えっと、どこでしょうか?」






とぼけてみるが、長年主治医もしてきて、かなの全てを知りつくしている二人が怒り気味にかなの前に立ちはだかった。






一人が





『はい、戻るよ。』





と言うのは進藤先生。






『まだ治ってないのに、お前は…』






怒り呆れる孝治。






体の向きを無理やり変えられ、病室に強制送還させられた。







はぁ…やっぱりこの時間はダメだったな。








そう思いながら、二人と部屋に戻ることを憂鬱に感じた。
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