未知の世界7
「もーまいっ!!私たち見捨ててどこに行ったのよ!!」
目の前で食堂でご飯を食べているまいに、私は追及した。
『だってさ、良子ちゃんのプライベートな話だし・・それに、佐藤先生って、治療に向き合ってない子に対して・・・
鬼なんだもんっ』
という言葉を聞いて、隣に座っていた良子ちゃんと私は同時に吹いた。
『何?なんか私、言った?』
不思議そうな顔のまいに、顔を見合わせて笑い続ける私と良子ちゃん。
『鬼だって~懐かしい!!』
段々と打ち解けてきて、昔のように慣れた口調の良子ちゃん。
「ほんと、ほんと!!みんな思ってるんだねえ。」
『鬼の佐藤』ってかつて私がそう呼んでいたことと、それを良子ちゃんにも話して二人だけでの秘密になっていたことをまいに話した。
「秘密といっても、早川先生も近藤さんも知ってたけどね。」
そんなことを話しながら食べていると、意外にもいつもよりよく食べることができた。
そんな女子会食堂ランチに、
『あら、楽しそうだね。』
そうやってきたのは、なぜか科の違う者同士の進藤先生と・・・
幸治さん。
今の話のどこも聞かれてないように、と良子ちゃんとまいの顔を見ながら祈った。
すかさず私たちの隣に座る進藤先生に幸治さん。
『先生方、いつもお二人はご一緒ですね。』
思ったことをスラッと聞くのがまいのすごいところ。
『そうだね、僕たち、兄弟みたいな仲だからね。』
と嬉しそうな進藤先生。
『誰かさんのことを包み隠さず報告するためにも一緒にいるんだけどな。』
と私の方を見て話す幸治さん。
だろうな・・・・・
『ちゃんと自分の体のことを正直に言わないから、俺が代わりに言ってるんだ。』
若干良子ちゃんの方も気にしながら話す幸治さん。
そんな良子ちゃんは幸治さんの視線に気づかず、
『よかった・・・私の旦那さんじゃなくて・・・』
と言った瞬間、今度は良子ちゃん以外の全員が吹いて笑った。
『あはははは!!!幸治くん、良子ちゃんに振られたよ』
幸治さんも、つい笑ってる。
「ほんと、ほんと、旦那さんじゃなくてよかったわね!」
なんて言ってすぐ気づいた。それ、私のセリフではない。
ちらっと見ると、ムスッとしている幸治さん。
「はは・・・・ごめんなさい。」
『まぁ幸治くんは奥様の体をそれほど大事に思ってるんだよね。』
となだめる進藤先生はまだ笑いが収まっていない。
『そうだそうだ、言い忘れたことがあって。』
と幸治さんが、良子ちゃんの方を見る。
良子ちゃんが私のことだと気づいて、幸治さんの方を見る。
『もちろん、来るつもりだったと思うけど。』
と前置きをして。
『この先の主治医は俺でもいいけど、もう一人心臓病に強い石川先生もいる。
かなは石川先生に心臓を診てもらっているけど、俺でも石川先生でもどちらでもいいから、決めておいてほしい。』
『・・・・は、はい。』
そんなこと目の前で言われて、じゃあ石川先生がいいです、なんて言えないよ、と思い良子ちゃんを見ると、
『かな先生はどう思いますか?』
ひゃーーー!!!目の前で振る!?
と目を見開いて驚いた。
『かな、すごいこと聞かれてるねっ!!』
とまいも進藤先生も面白そう。
いや、それは・・・・どちらも・・・・厳しくて。変わらず鬼だよ・・・
なんて言えない。
「う~ん・・・
どちらでもアレかなぁ。」
『アレ?』
聞き返す良子ちゃん。
「そう、アレ・・・」
鬼って言いたいけど言えない。
「どちらにしても、治療方針は変わらないと思うの。
どちらにしても、その、、、、、頼れる先生で、良子ちゃんのことをよく診てくれるだろうし、その・・・
厳しい・・・のは間違いないかな・・・」
との言葉でまたもや進藤先生が吹く。再び笑いのスイッチをオンにしてしまったようだ。
「どちらにしてもここの病院に来なくてはいけないのは間違いないよね。
それから、、、、、
私はどちらかというと、自分の体のことを昔から知っている先生に主治医をしてもらった方がいいと思うの。
カルテには書いてあるけど、また一から自分のことを話すのって大変だし。
佐藤先生なら、言わなくてもわかることもあると思う。
もちろん石川先生もとても察しがいいから、話さなくても私のことはお見通しだけどね。
私は佐藤先生もそのお父さんであるもう一人の佐藤先生も親族関係に当たるし、その時の病状で石川先生に主治医になってもらったけどね。
最初に石川先生に会った時、石川先生は私の指導医だったんだけど。
私が心臓を患ってることを知っていたけど、詳しくは知らなくて。
一緒に仕事してるとき、石川先生にいろいろ教えてもらいたいと思って、忙しくしてたら、私はいつまでも自分の病状をしゃべれなくてね。
結局、悪化させてから、石川先生に気づいてもらったって感じ。
そんな話しにくいこともその時の状況によってあると思うから、前のまま佐藤先生の方がいいと思うよ。」
と話してちらっと幸治さんを見ると、黙々と食べ続けている。
『そうなんですね。』
と良子ちゃんが話すと、
『かな、意外といろいろ考えてたんだね。』
とまい。
『ほんとだよな。
その当時に言ってほしいものだけどな。』
と幸治さんが言うと、進藤先生も深くうなづいた。
「それがなかなか言えるもんじゃないんですって。
良子ちゃん、私が言うのもなんだけど、学校卒業したら、ちゃんとここの病院で健診受けてね。
放置すると後で仕事しにくくなるよ。いろんな意味でね。
それから、就職し始めたばかりで、もし入院したらって思うだろうけど、大丈夫、放置していたらもっとひどくなって入院も長引くから、どうせ入院するなら先にしておいた方がいいよ。」
と教えてあげる。
良子ちゃんは自分の思っていたことをあてられたのか、深くうなづいた。
『経験者は語るってね。』
進藤先生が面白そうに答えた。
『その表情からすると、何かあるんだろ?
俺に言わなくてもいいから、ここに来る前にかなに相談しとけよ。』
と主治医の顔つきで幸治さんが良子ちゃんに言うと、図星だったようで、良子ちゃんの瞳が泳いでいた。
そんな不安そうな良子ちゃんに、
「どうやったら治療を逃れられるか、私が伝授してあげるけど、その代償は大きいわよ。」
なんて面白くいってみたけど、幸治さんにそんなことを教えるなと睨まれた。
みんな治療なんて嫌だし、こんな大きな病院で入院するのも怖い。
そんな気持ちを思い出しながら、私はこの気持ちを忘れてはいけないと心に決めた。
いや、忘れるはずがない。またすぐに実感するんだからね・・・。
目の前で食堂でご飯を食べているまいに、私は追及した。
『だってさ、良子ちゃんのプライベートな話だし・・それに、佐藤先生って、治療に向き合ってない子に対して・・・
鬼なんだもんっ』
という言葉を聞いて、隣に座っていた良子ちゃんと私は同時に吹いた。
『何?なんか私、言った?』
不思議そうな顔のまいに、顔を見合わせて笑い続ける私と良子ちゃん。
『鬼だって~懐かしい!!』
段々と打ち解けてきて、昔のように慣れた口調の良子ちゃん。
「ほんと、ほんと!!みんな思ってるんだねえ。」
『鬼の佐藤』ってかつて私がそう呼んでいたことと、それを良子ちゃんにも話して二人だけでの秘密になっていたことをまいに話した。
「秘密といっても、早川先生も近藤さんも知ってたけどね。」
そんなことを話しながら食べていると、意外にもいつもよりよく食べることができた。
そんな女子会食堂ランチに、
『あら、楽しそうだね。』
そうやってきたのは、なぜか科の違う者同士の進藤先生と・・・
幸治さん。
今の話のどこも聞かれてないように、と良子ちゃんとまいの顔を見ながら祈った。
すかさず私たちの隣に座る進藤先生に幸治さん。
『先生方、いつもお二人はご一緒ですね。』
思ったことをスラッと聞くのがまいのすごいところ。
『そうだね、僕たち、兄弟みたいな仲だからね。』
と嬉しそうな進藤先生。
『誰かさんのことを包み隠さず報告するためにも一緒にいるんだけどな。』
と私の方を見て話す幸治さん。
だろうな・・・・・
『ちゃんと自分の体のことを正直に言わないから、俺が代わりに言ってるんだ。』
若干良子ちゃんの方も気にしながら話す幸治さん。
そんな良子ちゃんは幸治さんの視線に気づかず、
『よかった・・・私の旦那さんじゃなくて・・・』
と言った瞬間、今度は良子ちゃん以外の全員が吹いて笑った。
『あはははは!!!幸治くん、良子ちゃんに振られたよ』
幸治さんも、つい笑ってる。
「ほんと、ほんと、旦那さんじゃなくてよかったわね!」
なんて言ってすぐ気づいた。それ、私のセリフではない。
ちらっと見ると、ムスッとしている幸治さん。
「はは・・・・ごめんなさい。」
『まぁ幸治くんは奥様の体をそれほど大事に思ってるんだよね。』
となだめる進藤先生はまだ笑いが収まっていない。
『そうだそうだ、言い忘れたことがあって。』
と幸治さんが、良子ちゃんの方を見る。
良子ちゃんが私のことだと気づいて、幸治さんの方を見る。
『もちろん、来るつもりだったと思うけど。』
と前置きをして。
『この先の主治医は俺でもいいけど、もう一人心臓病に強い石川先生もいる。
かなは石川先生に心臓を診てもらっているけど、俺でも石川先生でもどちらでもいいから、決めておいてほしい。』
『・・・・は、はい。』
そんなこと目の前で言われて、じゃあ石川先生がいいです、なんて言えないよ、と思い良子ちゃんを見ると、
『かな先生はどう思いますか?』
ひゃーーー!!!目の前で振る!?
と目を見開いて驚いた。
『かな、すごいこと聞かれてるねっ!!』
とまいも進藤先生も面白そう。
いや、それは・・・・どちらも・・・・厳しくて。変わらず鬼だよ・・・
なんて言えない。
「う~ん・・・
どちらでもアレかなぁ。」
『アレ?』
聞き返す良子ちゃん。
「そう、アレ・・・」
鬼って言いたいけど言えない。
「どちらにしても、治療方針は変わらないと思うの。
どちらにしても、その、、、、、頼れる先生で、良子ちゃんのことをよく診てくれるだろうし、その・・・
厳しい・・・のは間違いないかな・・・」
との言葉でまたもや進藤先生が吹く。再び笑いのスイッチをオンにしてしまったようだ。
「どちらにしてもここの病院に来なくてはいけないのは間違いないよね。
それから、、、、、
私はどちらかというと、自分の体のことを昔から知っている先生に主治医をしてもらった方がいいと思うの。
カルテには書いてあるけど、また一から自分のことを話すのって大変だし。
佐藤先生なら、言わなくてもわかることもあると思う。
もちろん石川先生もとても察しがいいから、話さなくても私のことはお見通しだけどね。
私は佐藤先生もそのお父さんであるもう一人の佐藤先生も親族関係に当たるし、その時の病状で石川先生に主治医になってもらったけどね。
最初に石川先生に会った時、石川先生は私の指導医だったんだけど。
私が心臓を患ってることを知っていたけど、詳しくは知らなくて。
一緒に仕事してるとき、石川先生にいろいろ教えてもらいたいと思って、忙しくしてたら、私はいつまでも自分の病状をしゃべれなくてね。
結局、悪化させてから、石川先生に気づいてもらったって感じ。
そんな話しにくいこともその時の状況によってあると思うから、前のまま佐藤先生の方がいいと思うよ。」
と話してちらっと幸治さんを見ると、黙々と食べ続けている。
『そうなんですね。』
と良子ちゃんが話すと、
『かな、意外といろいろ考えてたんだね。』
とまい。
『ほんとだよな。
その当時に言ってほしいものだけどな。』
と幸治さんが言うと、進藤先生も深くうなづいた。
「それがなかなか言えるもんじゃないんですって。
良子ちゃん、私が言うのもなんだけど、学校卒業したら、ちゃんとここの病院で健診受けてね。
放置すると後で仕事しにくくなるよ。いろんな意味でね。
それから、就職し始めたばかりで、もし入院したらって思うだろうけど、大丈夫、放置していたらもっとひどくなって入院も長引くから、どうせ入院するなら先にしておいた方がいいよ。」
と教えてあげる。
良子ちゃんは自分の思っていたことをあてられたのか、深くうなづいた。
『経験者は語るってね。』
進藤先生が面白そうに答えた。
『その表情からすると、何かあるんだろ?
俺に言わなくてもいいから、ここに来る前にかなに相談しとけよ。』
と主治医の顔つきで幸治さんが良子ちゃんに言うと、図星だったようで、良子ちゃんの瞳が泳いでいた。
そんな不安そうな良子ちゃんに、
「どうやったら治療を逃れられるか、私が伝授してあげるけど、その代償は大きいわよ。」
なんて面白くいってみたけど、幸治さんにそんなことを教えるなと睨まれた。
みんな治療なんて嫌だし、こんな大きな病院で入院するのも怖い。
そんな気持ちを思い出しながら、私はこの気持ちを忘れてはいけないと心に決めた。
いや、忘れるはずがない。またすぐに実感するんだからね・・・。