未知の世界7
翌朝、幸治さんと石川先生は良子ちゃんのために診察の準備をしていた。
幸治さんは診察室で待機。石川先生は検査室で機械の準備。
そして看護師長と医局長はすでに院長を通して、看護学校の方へ話を進めていた。
もちろんこのことはまいも知っている。
この病院で診ていた良子ちゃんが、遠い看護学校を入学して、またこの病院で働きたいと言ってくれているのだから、病院としては良子ちゃんの今後に全力を尽くす他はないと、考えている。
そして私はというと、
良子ちゃんの入ってくるであろう職員用の通用口で、待ち構えていた。
良子ちゃんに会ったら、まず看護学校の先生に話せたのか。
どんな反応だったのか。
そして学校を卒業してからではなく、いますぐにでも健診を受けてもらえないか説得にかかろうとしていた。
そして、良子ちゃんが来る時間、予想通り、彼女は通用口に入ってきた。
しかし、そこには私が思ってもいなかった光景だった。
実習中には大抵黒色っぽいスーツを着て、出勤するのが実習生らしい恰好。
しかし、彼女は私服でやってきた。手には大きなカバンを持って。
そして、その隣には二人の女性がいた。
私に近づくと、彼女から紹介を受けたお二人が、私に頭を下げた。