未知の世界7

「はい、これ。」





予定よりも早く退院をすることになった良子ちゃんに、病室で渡す。







『わぁ!可愛い。





合格祈願。』








「プレッシャーに感じないでね。






ギリギリまで私が持っていても良かったんだけど、次に会える時がいつかわからないから。」







そう。良子ちゃんは予定より早く退院することになったから、一度学校に戻って足りなかった授業とテストを受けて、国家試験に挑む。





実習もあと二週間残っているけど、それは様子を見て行うことにした。





さくが退院してすぐには体もしんどいだろうし、知ってる患者さんもいると気まずいという院長や学校長の計らいで。






『嬉しいっ!かな先生、ありがとうっ!』







それを大事にそうにどこにつけるか迷っている。






「私もほら。」






と言って、ポケットに入っているPHS。






そこに着けているのは、






「私は孝治さんからもらっちゃった。」







水色の健康祈願のお守り。







『うん、それはかな先生に一番必要だねっ』







そう言われ、顔を見合わせて大笑いした。








『これで頑張れそう。』







「それは嬉しいな。」







『また落ち着いたら、約束してたランチに行きたいなー』






「そうだね!それまで体調を崩さないようにしないとね。」







『お互いにねっ!』







とまた二人で顔を見ながら笑った。







少しずつ病気のことを話せる友達が増えてきた。






心に余裕が生まれた気がした。
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