未知の世界7
駐車場に泊まっていたバスは、ここら辺でも名店の和食屋さん。
みんな当然のようにバスに乗り込む。
「もしかして…後輩たちの歓送迎会?」
それにしても全員参加なんて、さっきの当直の先生ももしかしたら、他の病院からの応援なんじゃない…
だんだんと事情がわかってきた。
『二人だけでなくて、
君とジュニアと、それから直子の時もできなくて。
さらに石川先生が来ても集まることができなかったからね。
全員参加にしないとダメでしょ?
だから、今日は全員が参加できるように予定を合わせたの。』
医局長に肩をポンポン叩かれて、説明される。
『す、すごいです。医局の先生方、全員がそろうなんて。』
普段働いていても、全員が仕事の時はなかなかない。
誰かがお休みをとっていて、そろうことは難しい。
バスの中を振り返り、全員の先生の顔を見る。
「改めて思うのですが…
病院に関わってから…ほとんどの先生に私ってお世話になってますね…。」
そう思うと恥ずかしくなって来た。
今ここにいる方たちは、私のことを知っている。
『今日何かあっても、大丈夫だからねー、かなちゃーん。』
『お店から逃げるなよー!』
そんな誰かの声で、みんなが笑う。
「いやー!恥ずかしぃー!」
顔を真っ赤にして前を向いた。
そのバスはそのままお店に向かった。