未知の世界7

『せんぱ~い!!』




その椅子に座っていたのは、直子にたけるに、早川先生に幸治さん。





いや、このメンバーで無礼講って無理があるでしょ。





それなのに直子を早川先生にメロメロ。そして完全に出来上がっている。





『ほら、お前は、佐藤先生の隣じゃなくて、直子とジュニアの間だ。』





と空いていた椅子に座らされる。




「直子・・・吞みすぎてない?大丈夫?」





『らいじょうぶれすって!先輩!』




むちゃくちゃ酒臭い直子。





『結構呑んでるから、やばいだろうね。』





隣のたけるが心配そうにしてるけど、そのたけるも、かなり酔っている。顔が真っ赤。





『かなは何呑んでるの?』





「これはお酒じゃないよ。石川先生が作ってくれたノンアルコールカクテルかな。」





『かな、今日は好きなだけ食べていいからな。』




反対側に座る幸治さんが、そういいながらビールを飲み干し、また注ぎに行った。





「幸治さんは吞みすぎないでもらえると助かるんだけどな・・・。」





ボソッと呟いた声に、早川先生が聞こえたようで。





『佐藤先生、呑みすぎるとどうなるの??』





すごい嬉しそうに聞いてくる。呑んだせいか、いつもより100倍の笑顔。





「それが・・・結構人が変わります。」






『どんな風に!?泣いちゃうとか?』





「そうではないんです。その、なんというか。甘えてくるというか・・・・・その。」





『あぁ、そういうことな。エロくなるんだろ。』





と恥ずかしいことを平気でいう石川先生。





「やっ!その!」




『かな、顔が赤くなってる。』





とたけるに言われ、さらに恥ずかしい。





『へぇ~佐藤先生がねぇ。』





と早川先生は嬉しそう。そして隣の直子は、





『いいなぁ。みんな好きな人いて、結婚もして。幸せそう。』





酔いが冷めつつあるのか、真顔で呟く直子。






『私も結婚したーいい!!!!!!!!!!!』





とどでかい声で叫ぶ直子。





「声でかいから!!!」





近くに医局長がいることをお構いなくの直子。





『そういえば、石川先生はいないんですか?お相手。』






直子も直子ですごい。石川先生にそんなこと聞くなんて。





『おれか?』





怒ると思いきや、今日は無礼講だからなのか、すんなりと聞いてくれる石川先生。






『おれは、たぶん結婚とか無理だろうな。』





『どうしてですか?こんなにかっこいいのに。今まで何人の女の人を泣かせてきたんだろう、って顔してます。』






な、直子・・・それ以上は。





と石川先生の顔をチラッと見ると、





『ブハッ!』





笑っている。今日はみんな恐ろしいくらい機嫌がいい。






『確かに、大学時代は女が尽きたことはなかったけど。





いざ医者になっていろんな女性の体を診ると、なんかすべてを知り尽くしてしまったようで。





もういいかなぁなんて思ってしまってな。』






『あ~それありますね!』





と早川先生。たけるまで頷いている。





『じゃあ、好みはどんなタイプですか?』





『まぁそれは・・・』




と石川先生がここにきて初めて顔を赤らめる。





気になって、みんなで凝視していまう。





『まぁ、それはいうのは止めとく。』






その言葉を聞いてすぐに、直子が





『それってもしかして・・・・・』





『絶対に言うなよ!これを言ったら、やりにくくなるからな!』






ん?話が見えない・・・






『どんなところがいいんですか?』





たけるが聞く。ということは、たけるもわかってる?





『まぁ性格的なところもいいけど、一番は顔だな!』





「えっ!誰ですか?石川先生の好きなタイプって!!!!!!」





私のわからないところでみんなが盛り上がっていく。





『これ以上はだめだ!俺が殺されるからな。』






と石川先生が言うと、みんな爆笑した。





『それだけじゃ済まないでしょうねぇ。』





なんて早川先生まで。





私の留学中に誰か研修にでもきてたのか・・・・・




石川先生のタイプの女性に会ってみたいな。





なんて考えていると、幸治さんが戻ってきた。





それも焼酎セットをワゴンに乗せて。





『石川先生、その気持ちは絶対に隠していてくださいね。』





酔っているのか、酔っていないのかわからないけど、目の奥が笑っていない幸治さんがワゴンを押しながら石川先生に忠告のように言っている。





もしかしたら、訳ありの女性なんだろうな。






と私は確信した。















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