未知の世界7
『かな?』





目を覚ますと孝治さんが私に声を掛けていた。







『かな、目を開けて。』








ボーとした頭と顔で、孝治さんに言われた通りに目を開ける。







「こ…うじ…さん?」






『今仕事が終わったところ。』






「うん…」







そうだ、孝治さんが、仕事終わるまで点滴して寝てろって石川先生に言われたんだ。









『このままかなは、ここで一晩過ごして』








さらっと言われた言葉に、カッと目を開く。







「えっ?えっ?えっ?






どゆこと?」







『だから、そのまま今日は病院にいて。』








点滴パックを見ると真新しいものになっている。2時間以上は寝て、新しいものと交換されているみたい。







「あ、でも洗濯物とかあるし…帰ります。」








と体を起こそうとすると、両肩を押されて起き上がれない。





『石川先生からは聞いてないと思うんだけど。






かな、結構熱が高いから。








今度検診あるのに、体調が万全でないから。







今晩はここで寝て。』







え?え?熱あるの?







「気づかなかった…」







そう呟く私に、







『まぁいつものことだよな。』








はい、そうです。







『家にいても寝かせたままになるけど、点滴して、少しでも回復を早めた方がいいだろ?』







「はい。」







ごもっともです。









『とりあえず、それ以上の検査結果は明日朝、進藤先生も一緒に言いに来るからな。』








そう言って私の頬に手を乗せる孝治さんの手の甲に、私の手を重ねて温もりを感じる。








『とにかく今日一晩で、熱が下がるといいな。』







私が仕事を好きなことは、孝治さんが一番分かってる。なんなら、孝治さんもかなりの仕事好き。








だからか、気持ちは充分わかるんだろうな。








『じゃあ、おやすみ』






そういうとカーテンを閉めて、その場を離れる孝治さん。





あれ?ここって、もう病棟?








そんなことを思いつつも,検査結果も気になりながら眠りについた。
< 79 / 99 >

この作品をシェア

pagetop