未知の世界7

ハッ!






と目を開けると、まだ暗くて朝が来てないことがわかった。







はぁ…起きてしまった。







一度目が開くと、寝るときが怖いから簡単に眠れそうにない。






仕方なくトイレに向かう。







薄暗い廊下はもう慣れっこで、一人部屋で寝付く時に比べたら、全く怖くない。






静かにトイレへ向かう。






窓から見える外はもう少ししたら朝になってくるのかな、っていうくらいの明るさ。





真っ暗というより、若干明るいような…






もう朝になるなら、起きていよう。








トイレを済ませて、病棟の待ロビーまでやってきた。






ソファに腰を下ろす。







はぁ。入院してると、私にとってここが唯一の外。



 



ちょっとした息抜き…







そんなことを考えてると、眠くなってくる。







ここなら…こうやって座ってれば…






起きないかもしれない…






発作。






























頭が左右に揺らされて目が覚めた。






ボーっとしながら周りを見ると、2人の看護師が目の前にいた。








『佐藤さんっ!お部屋に戻りしょうね。』






何時なのか分からないけど、立つように促され、なされるまま足を動かす。








『どうして、あんなところにいたんですか?』 
 






そんなことを聞かれるけど、どうしてか…思い出せない…







『いつからいたんですか?』








もう一人の看護師に聞かれる。







「うーん…」









眠い…








質問を聞かれるのに精一杯で、答えられない…









とにかくベッドに…







ふらつく体を支えてもらいながら、部屋に着く。








扉が空いて部屋に入ると、









『あら、かなちゃあん?夢遊病かな?』













う…顔は笑顔で、言葉も笑顔…







そんなときの石川先生ほど怖いものはない。









『早くベッドに来い。』








小児科医の石川先生からは、まず聞くことのない声。
一緒にいた看護師の顔がきっと青ざめているだろうな…







たまに私は聞くけど、これには慣れない。








ふらふらとベッドに近づいて、なんとかベッドに登って、横になる。









何も言わず聴診器を耳につける石川先生。







石川先生のただならぬ迫力に恐れながら、私の服を上げる看護師。








睡魔に勝てず、眠りにつく私。
 





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