未知の世界7

〜小児科医局にて〜




医局に入ってきたのは今朝かなの回診をした、循環器内科の先生。





『おはようございます。石川先生は?』





1番近くにいた先生に尋ね、その先生の案内で、石川先生のところへ向かう。






パソコンに向かっていた石川先生が顔を上げると、循環器内科の先生を見た。




それと同時に、共通している患者はかなだから、かなのことで来たのか、と予想した。





『おはようございます。




石川先生、佐藤かなさんのことでちょっと…』







そう言われ、医局にいたほとんどの先生が循環器内科の先生と石川先生に注目をした。







『おはようございます、分かりました。





こちらで…』






と相談室へ。そして既にその様子を見ていた佐藤先生にも手招きをして一緒に向かった。












ソファに腰をかけ、一呼吸置くと、





『佐藤かなさんの回診を今朝してきました。』







聞いていた2人が頷く。






『聴診したときに、若干咳が出たのですが、ちょうど同じ時に「痛い!」って聞こえたんです。






上腹部を抑えた感じもしたので、どこが痛むのか聞いたのですが、痛みはないと…





しかし、一緒にいた看護師もその言葉を聞いていて。






本人が痛くないと言いはるので、それ以上は聞きませんでしたが。報告はしておいたほうがいいかと思いまして。






他の看護師から、かなり自分の症状を隠すところがある子だと聞きましたので。』






それを聞き、








『すいません…本当に』





と頭を下げる佐藤先生。






『わざわざ教えていただき、ありがとうございました。』





と丁寧に頭を下げる石川先生。





循環器内科の先生が相談室を後にし、





残った2人で顔を見合わせ、大きくため息をついた。






『あいつ…本当に許さん!』






拳を強く握る佐藤先生に、







『すいません、気付けなかった自分の責任です。』







と頭を下げる石川先生。




『これから検査もありますので、ちょっと診てきます。





なるべくなら自分から言わせたいので、ここは自分に任せてください。』






そう言って、2人は相談室を後にした。

< 95 / 99 >

この作品をシェア

pagetop