女の恋愛図鑑
初めてメールしてから2週間が経とうとしている。


あと1週間もすれば、大きな花火大会がある。
その花火大会は高校の近くで催され、規模もすごい。
誘ってみようか…

でもなぁ…

こんな時、あたしの弱い所が出て来る。名前も知らない人に声をかけることは出来るのに、決定打は打てない。それが、幸せを逃すいつものパターンだと分かってはいるのに。

奮起せよ、佐知。
〔8月1日空いてる?〕ここで言わないと!

〔花火大会の日だね、佐知こそ空いてる?一緒に行かない?〕


ぶはぁっ!まさか向こうから言ってくれるなんて!神様ありがと。

あたしは思いっきり気合い入れた。浴衣まではいかなくても、あたしの意気込みがバレてしまうのは承知してた。

花火を見て、手をつないで、並んでる。幸せ。
「汗かきだけど、手をつないでもいい?」


どうぞどうぞ~て感じよね。


あたしはここまで来たら、言わせたかった。

付き合ってと向こうが懇願してくるように。
8月に入って、文化祭の準備でなお忙しくなる。

「俺、小学校の時母さんが病気で死んでさ、幸せなんて縁遠いと思ってた。けど、佐知と一緒だと、今めっちゃ幸せって感じられるんだ。」


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