女の恋愛図鑑
さっさと送ってもらって家で爆睡するつもりだった。
だって明日ゼミで旅行だから6時起きなんだもん。寝坊したらシャレになんない。
そこ曲がったらウチだって言った瞬間、意外な言葉が返ってきた。
「佐知もう帰りたいの?」
…ん?
「もし時間大丈夫だったら、夜景見に行かない?」
「……え、嬉しいっいいよ。」
反射神経的にそう返事してしまった。
さっさと見て帰るか。
としくんは男前だから、あたしには目もくれないだろう。うんうん。
「どんなとこに見に行くの?」
「そんなに遠くないよ。20分くらいかな~。」
「…ふ~ん。」
としくんはあまりおしゃべりな方じゃない。
あたしが頑張らなきゃ、会話は簡単に終わってしまう。
とか考えてたら、車はどんどん山道にそれて、ドリフトかますような車が攻めてるような峠をすいすい登って行く。
明かりはヘッドライトだけで、あまりにくねくね曲がった道だし、片側2車線だけど、めちゃくちゃ狭いから、あたしなら5秒でガードレールにぶつかりそう。
としくん運転上手いのね。
「着いたよ~。」
としくんはいつもみたいにのんびりした声で言う。