女の恋愛図鑑
美紀は宣言通り、田中君にチョコを渡したそうだ。
「これが最後、頭の中で何度自分が田中君の彼女になった所を想像したか分からない。それがようやく終わると思った…」
「踏ん切りがついたの?」
「…無理だった。会えば心の中が田中君だらけになるんだもん!諦めるなんて無理…」
美紀の恋は自分を苦しめる。田中君なんて別に顔も良くないし、日頃からバカばっかりしてるだけだよ、もっと他にいい人いるよ。
泣く美紀の背中を擦りながら、そんな浅はかな慰めとても言えないなぁとぼんやり考えた。
そんな事、美紀が一番良く分かっているはずだもの。…他なんて考える事出来ないほど、恋してるんだね。
今はそれでいいような気がする。今は。
あたしはそれから3日後に風邪で学校を休んだ。
本当は一目でも雄志に会いたかったのだけど。
昼すぎ、同じ部活のつーちゃんからメールが入った。
〔美紀が何か昼休み、雄志くんと廊下で話してたからさぁ、気になって横通りすぎてみたら、美紀がメアド聞いてたよ(;_;)〕
え…嘘?
あたしはめちゃくちゃ錯乱して、色んな人にメールや電話をした。
〔美紀がアドレス聞いたみたいなんだけど本当?あたしが好きなこと知ってたはずなのに!!〕