女の恋愛図鑑

その日から、あたしは美紀の動き一つ一つに過敏になる。

授業中美紀がメールしていれば、その相手が雄志なんじゃないかと思わずにはいられなくなり、あたしも雄志にメールして、いつもよりレスポンスが遅ければ、やっぱり!!!!と思って発狂する気持ちになり…疲れていた。


あたしは遂に美紀に直談判する。
「美紀、あたしに言うことないの?」
美紀は、どういう反応をするつもりだろう。
なかなか言葉を発さず、少し考えたような様子がして、けれどその表情はすぐケロッとしてしまう。
「佐知に言わないとーと思ってたんだけど、黙っててごめんね!実はあたしも雄志の事好きになっちゃって。」
「…田中君が好きなんじゃなかったの?」

「それがねー、不思議と切り替えが出来ちゃって、今は何とも思わないの。」

「あたしが好きなの知ってて?」
「その事はごめんね!まぁ、これから2人で頑張ろうね~。」

あたしは何も言えなかった。というより呆れてしまっていた。
あの時のあんたの涙はなんだったんだ。
あたしの相談にのってたあんたはなんだったんだ。
2人で頑張ろうってどういうつもり?
頑張った末に幸せになれるのは、1人だけだと、分かってないとか言うつもりなの?
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