女の恋愛図鑑

あたしは自分で自分がうんざりするほど、何かを強烈に求めると、諦めが悪いのだろう。

雄志をきっぱり諦められたら、辛い思いから逃げられる。けど、付き合った2人を見たら、地獄に突き落とされたような気持ちになるだろう。

そうはなりたくない…そんな惨めさ味わいたくない…

恋があたしの心を着実に蝕んでいく。それが分かる。
けど、止められない。

あたしは体育の時間に、ちょっとトイレに行くと言って抜け出した。

そして誰の目にも触れないように更衣室に行く。

あたしの手に今、ケータイがある。けどこれはあたしのじゃない。
これは、美紀の。


あたしは発狂しそうだった。でも止めておけば良かったのに、美紀のケータイから2人が今どこまで進んだのかをどうしても知りたかった。


ダメだと分りながら、けれどどうしても止められない。
あたしは、自分から卑怯者に成り下がる。


え??


あたしは目を疑う。
あたしの驚きは美紀のハートづくしのメールの内容でもなんでも無い。

絵文字がキレイに、バランス良く使われた、手のこんだ雄志のメールに目を疑ったのだ。

あたしの時はこんなじゃない。


< 37 / 55 >

この作品をシェア

pagetop