女の恋愛図鑑
意を決したあたし自身の行動のせいで、自尊心もプライドも砕け散ってしまう。

あたしはバカだ。
その意味の真意はこんな事をしてしまったことではなく、決定打を打たれても、なお諦めきれない自分の惨めさをそう思うのだ。

それは現実を受け入れられないさもしい姿。
あたしは甲子園で砂を拾わず、負けた事を未だに分かっていない球児のようだ。

けど、現実にはそんな往生際が悪い球児はどこにもいない。

あたしは思った以上に泥のような人間なのかもしれない。

微かに外に誰かいたような気配を感じてあたしは美紀のケータイを元の場所に戻した。

見なければ良かった。そうしたら、このどうしようもない哀しみを味わなくてすんだのか…


授業中に美紀の背中が勝ち誇ったように見えて、唇を噛み切ってしまいそうだった。

憎悪、憎しみだ。
紛れも無い、あたしの中に悪魔がいる。

やっかみなのかな…完敗の状態のあたしは、美紀に憎しみをぶつけるしか術がなかった。

美紀は確かに雄志に気に入られるような子のように思う。
性格は明るいけど落ち着いて、容姿もかわいらしい。
高校生にはたまらなく、輝いて見えるに違いない。

自分の負けを、認める作業があたしには必要なんだ。
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