女の恋愛図鑑
あたしはけれど、勝敗が分かりきった試合をリタイアする気にはなれない。
あたしは雄志を呼び出した。来たのは夜の8時。部活終わりにしたら遅過ぎる。
その間、何をしてたんだろう…
雄志は落ち着きが無い。それはあたしに呼び出されたからではないような感じだ。
あたしは言おうと決めていた。自分の気持ちを。
望みのない期待を少しだけ胸に秘めて。
他愛も無い話が続く。1時間くらい経った。
あたしは本題に入ることが出来ない。
待っていた。こんな状況になってもバカで夢見がちなあたしは、最後にまさかの大どんでん返しがあるかもしれないと思っていた。
雄志から、実はあたしが好きとかいう…
そんな奇跡も起こるはずもなく、時間だけが過ぎる。
「あたし、明日部活の朝練があるからこの辺で帰るね。」
「あ、そうなの?じゃあ帰ろっか。」
いつもの公園を出て、右が雄志の帰り道で、左があたしの帰り道。駅まで送ってくれるかな。
そんな淡い期待はすぐ粉々になる。
「じゃあな。」
え。
「バイバイ。」
雄治は右を選んだ。背中を向けて、小さくなっていく。
あ、行かないで…
泣きそうになって、でも我慢して雄志と反対の道を行く。
決定的なんだ…