女の恋愛図鑑
ゆりはそういう子。
男を虜にするような女なのに、性格は男らしい。ゆりとは友達じゃないから良くは知らない。

「結局別れることになったけど、離れることが原因だったなら、大学卒業したら迎えに行くから、それまで待っててって言った。」

良く分からないんですけど…


うそ。

何か分かってた。でも、何か心が軋んだのを感じたから、先が知りたく無かっただけだ。

としくんが言おうとすることを、あたしは全身で感じていた。

「向こうに彼氏がいるとか、メールはしないの?」

「しない。でも明後日あいつの誕生日だから、メールしようと思う。」

つなぎ止める努力もしないで、どこから来る自信なのよ。

大学の4年間っていう短い時間だって、人生は結構濃縮されている。女はそんな短い時間の中でだって、驚くくらい変わっていく。


「彼氏作るなとか、絶対待ってろなんて言ってない。でも、卒業したらもう一度俺と付き合ってって言うよ、必ず。」

その話を聞いて、ロマンチックだなんて少しも思わなかった。
としくんを好きになりかけていたから。
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