女の恋愛図鑑
なんじゃそらなんじゃそらなんじゃそら
「でも、俺も純粋に待ってられない。遊ぶ時は来ると、ゆりに伝えた。」
「じゃあ、あたしとは?」
「……」
「…何か言ってよ。」
答えは分かってた。けど、こんなかわいそうなあたしに、言葉くらいくれてもいいじゃない…。
それで諦めてあげるよ。
「佐知が全然知らない子なら、俺は続けられてた。自分の都合のいいように、してた。」
〔佐知の事は好きだから、傷付けられない〕
そう言ってくれたら、あたしきっととしくんの事マジになってたよ。
「ゆりと戻れた時、知ったら絶対いいように思わない。」
あははっ
ホンマもんのアホだよ、あんたは。
ううん…アホはあたしの方だ。
としくん、どんなにゆりの事を好きに思ってるか分かったよ。分かったけど、としくんのやり方は盲目すぎて、少なくともあたしには向かないな。
それだけでも分かって、良かったかもしれない。
としくんはその日、もうあたしと会わない事をそんなやり方で伝えた。
「駅まで送るよ。」
あたしととしくんの最寄り駅に続く電車は、屋上庭園を基点にまるで真逆だった。