天正さんちの家族ごっこ〜私に異母兄弟が七人もいる件について〜
「そう気落ちするなって。元気出せよ。その内、ふらっと親父が来るかもしれないぞ。それまでの間、兄妹仲良く暮らしながら親父が帰って来るのを気楽に待つんだな」

 梅吉さんは、けらけら笑う。その声は憎たらしくも私の頭の中で、びんびんと強く反響した。

 なんなの、なんなの。一体どういうことなの。

 異母兄弟って、なに? 一緒に暮らすって、なに? このイケメン達と私が一つ屋根の下で?

 ……こんなの、普通じゃない。だって。異母兄弟が六人もいたこと自体おかしいのに、それなのに、その兄弟達が集まって生活しているなんて。そんなの、絶対に変だよ。

 お母さん、私、どうしたらいいの……?

 だけど、お母さんに私の声は届かない。代わりに私の中で、ぷつんとなにかが切れた音がした。

「ふっ……、ふざけないでください! 私はお父さんに復讐するため、文句を言うため、ここに来たんです! 家族ごっこをするために来たんじゃないっ!」

 私はすっかり荒くなった息を肩を上下に揺らして整える。

 異母兄弟って、なによ。一緒に暮らすって、なによ。お父さんってば、どこまでふざけてるの? どこまで私をバカにすれば気が済むの……!?

 私が一人興奮していると、梅吉さんが、
「おい、おい」
と声をかけてきた。
< 10 / 164 >

この作品をシェア

pagetop