天正さんちの家族ごっこ〜私に異母兄弟が七人もいる件について〜
 え……?

「菊、手伝ってくれるの……?」

 菊は、ちらりと私を見て、
「そんなちんたら作られたら、いつまで経っても食べれないだろう」

 むっかーっ!!

 なによ、少し感心したのに……!

 けれど菊は、するすると器用にジャガイモの皮をむいていく。もしかして私よりうまいかも……? ちょっと悔しい。

 負けるもんか、と私も引き続きジャガイモの皮をむいていると、
「あー!」
とキッチンにやって来た梅吉兄さんが声を上げた。

「菊のやつ、抜け駆けして点数稼ぎしてるぞ」

「はあ? 点数稼ぎってなんだよ」

「点数稼ぎは、点数稼ぎだろう。牡丹に気に入られようとして。
 牡丹、俺も手伝う! 菊だけにいい顔させられないからな」

「牡丹ちゃん、俺も手伝おうか?」

 梅吉兄さんに桜文兄さん、それから菖蒲兄さんに芒も名乗りを上げてくれた。

 道松兄さんは……、
「お前はおとなしくしてろ」
 全員一致で、テレビを見ていてもらうことになった。
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