天正さんちの家族ごっこ〜私に異母兄弟が七人もいる件について〜
第8戦:天正家がテレビ収録で大暴れする件について
朝独特の穏やかな陽射しに包まれながら、私は身支度を整えるとリビングに入る。
すると、
「おはよう、牡丹。牡丹にも、はい、カタログ」
部屋に入るなり藤助兄さんに分厚い冊子を渡された。
「なんですか、これ。ええと、『幸せ家族策略』……?」
私は冊子の表紙をじろじろと眺める。
「あれ、知らない? 土曜日のゴールデンタイムに放送されてる、視聴者参加型のバラエティ番組だよ。芒が応募したら、その挑戦権に当選したんだ」
「へえ、すごいですね。当選するなんて」
「芒は人一倍運がいいからね。でも、応募してたなんて知らなかったよ」
「あのね、みんなを驚かせようと思ったの」
芒は得意そうに、にこにこ笑いながら言った。
「それで、具体的にはどういう番組なんですか?」
私が訊ねると、藤助兄さんが丁寧に説明してくれる。
なんでも家族みんなで番組が用意したゲームに挑戦して、全部クリアできれば賞品がもらえるみたい。ちなみに私達が出演する回は生放送スペシャルなんだって。
「さっき渡した冊子が、もらえる賞品が載ってるカタログだよ。欲しい物を選んでね」
「へえ、ゲームソフトに洋服、それに家具や電化製品まで。なんでもそろってますね」
「賞品総額は一家族につき百万円だって。一人分に換算したら大体十万円だね」
「十万円分ですか!?」
十万円――。
私のような庶民派高校生にとって、十万円は、とっても魅力的な響きだ。
だけど……。
「でも、そのためにはテレビに出ないといけないんですよね?」
すると、
「おはよう、牡丹。牡丹にも、はい、カタログ」
部屋に入るなり藤助兄さんに分厚い冊子を渡された。
「なんですか、これ。ええと、『幸せ家族策略』……?」
私は冊子の表紙をじろじろと眺める。
「あれ、知らない? 土曜日のゴールデンタイムに放送されてる、視聴者参加型のバラエティ番組だよ。芒が応募したら、その挑戦権に当選したんだ」
「へえ、すごいですね。当選するなんて」
「芒は人一倍運がいいからね。でも、応募してたなんて知らなかったよ」
「あのね、みんなを驚かせようと思ったの」
芒は得意そうに、にこにこ笑いながら言った。
「それで、具体的にはどういう番組なんですか?」
私が訊ねると、藤助兄さんが丁寧に説明してくれる。
なんでも家族みんなで番組が用意したゲームに挑戦して、全部クリアできれば賞品がもらえるみたい。ちなみに私達が出演する回は生放送スペシャルなんだって。
「さっき渡した冊子が、もらえる賞品が載ってるカタログだよ。欲しい物を選んでね」
「へえ、ゲームソフトに洋服、それに家具や電化製品まで。なんでもそろってますね」
「賞品総額は一家族につき百万円だって。一人分に換算したら大体十万円だね」
「十万円分ですか!?」
十万円――。
私のような庶民派高校生にとって、十万円は、とっても魅力的な響きだ。
だけど……。
「でも、そのためにはテレビに出ないといけないんですよね?」