天正さんちの家族ごっこ〜私に異母兄弟が七人もいる件について〜
次のお題は瓦割りで、五分以内に瓦を一枚ずつ、計二十枚全て割ることができればクリアだそうだ。
「力仕事と言えば、ここはもちろん桜文だな」
「頼んだぞ」梅吉兄さんは、桜文兄さんの背中をどんと叩いた。
「ああ、分かった。でも……。
あのう、一枚ずつ割るのは面倒なので、一気に割ってもいいですか?」
「へっ、一気にって、二十枚全部ですか? 構いませんが、しかし万が一ケガをされても当番組で責任を負うことは……」
「それなら大丈夫ですよ。ウチの三男は丈夫なのが取り柄なんで」
「はあ、そうですか。
それでは瓦を設置し直した所で、天正家の二回目のチャレンジ……」
「スタートです」そのアナウンスと同時、ガッシャーンッ……!!! と甲高い音がスタジオ中に響き渡った。問題の瓦の束は一番下の一枚まで、真っ二つにきれいに割れていた。
わっと沸き起こる歓声に桜文兄さんは照れ隠しとばかり、薄らと赤く染まった頬を軽くかいた。
「さすが桜文。一発で決めるとは」
「わーっ! やった、やったー! これでまたサイクロン掃除機に近付いたぞ!」
「よし、この調子で一気に勝負を決めるぞ!」
と天正家が小さな盛り上がりを見せる中、次のお題はルービックキューブだと発表される。五分以内に六面全て同色にそろえればクリアだって。
「ここは僕が」
満場一致で菖蒲兄さんに決定し、兄さんはスタジオの真ん中へ移動する。
開始の合図とともに兄さんはキューブを手に取ると、くるくるとそれぞれの面を見渡す。それからキューブを素早く回し出し……。
「できました」と数秒後、台の上にキューブを戻した。
「えっ、もうですか? では、確認を……。
はい、六面全てそろってますね。タイムは番組新記録の十八秒です……」
呆然とタイマーを眺めている司会者の傍らから、すたすたと戻って来た菖蒲兄さんに私は、
「すごいですね、菖蒲兄さん。よくあんな短時間でできましたね」
兄さんは、やっぱり顔色一つ変えないで、
「CFOP法を使ったんです。ルービックキューブにはいくつか解法がありまして、その内の一つです。こういった方法を覚え、コツさえつかめば誰でも簡単にそろえられますよ」
なんだか分からないけど、とにかくすごい。
ますます感心していると、番組のスタッフ達が不意にばたばたと裏で忙しなく動き回り出した。
「力仕事と言えば、ここはもちろん桜文だな」
「頼んだぞ」梅吉兄さんは、桜文兄さんの背中をどんと叩いた。
「ああ、分かった。でも……。
あのう、一枚ずつ割るのは面倒なので、一気に割ってもいいですか?」
「へっ、一気にって、二十枚全部ですか? 構いませんが、しかし万が一ケガをされても当番組で責任を負うことは……」
「それなら大丈夫ですよ。ウチの三男は丈夫なのが取り柄なんで」
「はあ、そうですか。
それでは瓦を設置し直した所で、天正家の二回目のチャレンジ……」
「スタートです」そのアナウンスと同時、ガッシャーンッ……!!! と甲高い音がスタジオ中に響き渡った。問題の瓦の束は一番下の一枚まで、真っ二つにきれいに割れていた。
わっと沸き起こる歓声に桜文兄さんは照れ隠しとばかり、薄らと赤く染まった頬を軽くかいた。
「さすが桜文。一発で決めるとは」
「わーっ! やった、やったー! これでまたサイクロン掃除機に近付いたぞ!」
「よし、この調子で一気に勝負を決めるぞ!」
と天正家が小さな盛り上がりを見せる中、次のお題はルービックキューブだと発表される。五分以内に六面全て同色にそろえればクリアだって。
「ここは僕が」
満場一致で菖蒲兄さんに決定し、兄さんはスタジオの真ん中へ移動する。
開始の合図とともに兄さんはキューブを手に取ると、くるくるとそれぞれの面を見渡す。それからキューブを素早く回し出し……。
「できました」と数秒後、台の上にキューブを戻した。
「えっ、もうですか? では、確認を……。
はい、六面全てそろってますね。タイムは番組新記録の十八秒です……」
呆然とタイマーを眺めている司会者の傍らから、すたすたと戻って来た菖蒲兄さんに私は、
「すごいですね、菖蒲兄さん。よくあんな短時間でできましたね」
兄さんは、やっぱり顔色一つ変えないで、
「CFOP法を使ったんです。ルービックキューブにはいくつか解法がありまして、その内の一つです。こういった方法を覚え、コツさえつかめば誰でも簡単にそろえられますよ」
なんだか分からないけど、とにかくすごい。
ますます感心していると、番組のスタッフ達が不意にばたばたと裏で忙しなく動き回り出した。