天正さんちの家族ごっこ〜私に異母兄弟が七人もいる件について〜
「まあ、とにかく牡丹はウチで初めての女の子だ。妹だぜ、妹。むさ苦しい我が家に、やっとの華だ」
梅吉さんは喜んでくれているみたいだけど、反対に私の体は強張る。なんとなく予想はしてたけど、やっぱりこの家、女の子いないんだ……。
一層と不安を抱いている私を置き去りに、
「まっ、そういうことで。我が家の新たな一員、牡丹に一丁自己紹介とでもいこうじゃないか」
梅吉さんは景気付けとばかり、ぱんっ! と威勢良く手を叩いた。
「あそこに座っている目付きが悪くて、えらそうな男が道松で一応長男だ。で、俺は次男の梅吉。あそこのでっかいのが桜文、三男。藤助が四男で、あの眼鏡が五男の菖蒲だ。そして……」
「僕は芒、小学四年生だよ。よろしくね、牡丹お姉ちゃん!」
「お姉ちゃんって……」
一度に増えた兄弟を前に、私は苦笑いをするしかない。
どうしよう、なんだかおかしなことになっちゃった……。
そう思っていると、不意にガラの悪い声が横から上がった。
「おい。誰の目付きが悪くて、えらそうだって?」
「なんだよ、本当のことだろう。長男だからって、いつもえらそうに踏ん反り返ってるじゃないか」
「ああっ、なんだとーっ!!」
道松さんは勢い良く立ち上がり、自分の額を梅吉さんのそれにくっつける。バチバチと二人の間には激しい火花が飛び散り合い、藤助さんが止めに入ろうと割り込んだ。
だけど、こういうのを不運っていうのかな。藤助さんの持っていたお盆が二人にぶつかって、乗っていたグラスがぽーんと高く宙を飛んで……。
バッシャーンと引っ繰り返ったグラスの中身が、私の頭上に盛大に降りかかった。ぽたぽたと髪先からは大粒のしずくが滴り落ちる。
梅吉さんは喜んでくれているみたいだけど、反対に私の体は強張る。なんとなく予想はしてたけど、やっぱりこの家、女の子いないんだ……。
一層と不安を抱いている私を置き去りに、
「まっ、そういうことで。我が家の新たな一員、牡丹に一丁自己紹介とでもいこうじゃないか」
梅吉さんは景気付けとばかり、ぱんっ! と威勢良く手を叩いた。
「あそこに座っている目付きが悪くて、えらそうな男が道松で一応長男だ。で、俺は次男の梅吉。あそこのでっかいのが桜文、三男。藤助が四男で、あの眼鏡が五男の菖蒲だ。そして……」
「僕は芒、小学四年生だよ。よろしくね、牡丹お姉ちゃん!」
「お姉ちゃんって……」
一度に増えた兄弟を前に、私は苦笑いをするしかない。
どうしよう、なんだかおかしなことになっちゃった……。
そう思っていると、不意にガラの悪い声が横から上がった。
「おい。誰の目付きが悪くて、えらそうだって?」
「なんだよ、本当のことだろう。長男だからって、いつもえらそうに踏ん反り返ってるじゃないか」
「ああっ、なんだとーっ!!」
道松さんは勢い良く立ち上がり、自分の額を梅吉さんのそれにくっつける。バチバチと二人の間には激しい火花が飛び散り合い、藤助さんが止めに入ろうと割り込んだ。
だけど、こういうのを不運っていうのかな。藤助さんの持っていたお盆が二人にぶつかって、乗っていたグラスがぽーんと高く宙を飛んで……。
バッシャーンと引っ繰り返ったグラスの中身が、私の頭上に盛大に降りかかった。ぽたぽたと髪先からは大粒のしずくが滴り落ちる。