天正さんちの家族ごっこ〜私に異母兄弟が七人もいる件について〜
部屋の中に入ると……、
「おー! 広いし、きれいでいい部屋じゃないか」
梅吉兄さんをはじめ、きらびやかな室内の様子に誰もが感嘆の声を上げた。
「お気に召していただき光栄です。ですが、万が一なにかあっても当旅館では一切の責任は……」
「そのことなら大丈夫ですよ」
仲居さんの不安げな面持ちとは裏腹、梅吉兄さんはけろっとした顔で、気にしないでくださいと軽く後を続ける。
だけど、その場から遠ざかって行く中居さんの挙動不審な様子に、私もだけど藤助兄さんが首を傾げさせる。
「ねえ、梅吉。なんだよ、今の会話は。仲居さん、責任がどうとか言ってたけど」
「ん、ああ。いやあ、この部屋、出るんだってさ」
「出るって、なにが?」
「おい、おい。旅館で出ると言えば、そんなの一つしかないだろう」
やっぱり梅吉兄さんは、けろりとした顔のまま。一向にひょうひょうとした態度だ。
そんな兄さんを前にして、藤助兄さんは顔を青くさせると生唾をのみ込ませ、
「それって、まさか……」
「だから、ゆうれ……」
最後の「い」の音が発音される前に、藤助兄さんの口から、
「ギャーッ!!?」
と盛大な悲鳴が発せられる。
誰もがその音に耳をふさぐ中、藤助兄さんの顔色はますます青くなっていく。
「おー! 広いし、きれいでいい部屋じゃないか」
梅吉兄さんをはじめ、きらびやかな室内の様子に誰もが感嘆の声を上げた。
「お気に召していただき光栄です。ですが、万が一なにかあっても当旅館では一切の責任は……」
「そのことなら大丈夫ですよ」
仲居さんの不安げな面持ちとは裏腹、梅吉兄さんはけろっとした顔で、気にしないでくださいと軽く後を続ける。
だけど、その場から遠ざかって行く中居さんの挙動不審な様子に、私もだけど藤助兄さんが首を傾げさせる。
「ねえ、梅吉。なんだよ、今の会話は。仲居さん、責任がどうとか言ってたけど」
「ん、ああ。いやあ、この部屋、出るんだってさ」
「出るって、なにが?」
「おい、おい。旅館で出ると言えば、そんなの一つしかないだろう」
やっぱり梅吉兄さんは、けろりとした顔のまま。一向にひょうひょうとした態度だ。
そんな兄さんを前にして、藤助兄さんは顔を青くさせると生唾をのみ込ませ、
「それって、まさか……」
「だから、ゆうれ……」
最後の「い」の音が発音される前に、藤助兄さんの口から、
「ギャーッ!!?」
と盛大な悲鳴が発せられる。
誰もがその音に耳をふさぐ中、藤助兄さんの顔色はますます青くなっていく。