天正さんちの家族ごっこ〜私に異母兄弟が七人もいる件について〜
「なんだよ、別にいいだろう。あっ。もしかして、お兄ちゃんも牡丹とペア組みたかったのか? なんだ、そうなんだー。素直に言えばいいのにー。でも残念だなあ。牡丹は俺とペアって決まっちまったからさ」

「そんなんじゃねえよ! だから、なんでお前が仕切るんだって言ってるんだ」

「お兄ちゃんってば、相変わらずツンデレだなあ」

「人の話を聞け、このバカッ!」

 あーあ。また道松兄さんと梅吉兄さんのケンカが始まっちゃった。

 あきれていると、またまた、やっぱり、
「もう、公平にくじ引きにしなよ!」
と藤助兄さんが二人の間に割り込んだ。

 こうして藤助兄さんの提案に従って、くじ引き代わりの割り箸をみんなで引いていく。

 すると。

「げえーっ!? なんで俺が道松とペアなんだよー!」

「それはこっちのセリフだ!」

 なんだかなあ……。またケンカを始める兄さん達をお約束通り藤助兄さんが止めに入る。

 ちなみに私のペアはと言うと、
「牡丹ちゃん、よろしくね」

「はい。こちらこそ」

 桜文兄さんだ。

「ずるいぞ、桜文。俺が牡丹とペアを組むはずだったんだぞ。
 あーあ。道松とペアなんてつまんねーの」

 梅吉兄さんは、つんと唇をとがらせる。

 だけど、すぐに、
「あっ、そうだ!」
と声を上げ、
「なあ、なあ。どうせなら景品を懸けようぜ」
と提案してきた。

 その方が盛り上がるだろうと続ける兄さん。確かにそうかも。景品って、お菓子とかかな。

 みんなが納得していると、
「そんじゃあ、優勝したチームが牡丹を真ん中に添い寝できることにしよう」

 うん、うん。とってもいい景品だね……って。

「ちょっと、梅吉兄さんってば! そんなこと勝手に決めないでくださいよ!!」

「なんだよー。いいじゃん、減るもんじゃないんだから」

 そういう問題じゃない!

 それに、私が優勝したらどうするの? 私にはメリット所か、デメリットしかないんだけど。
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