天正さんちの家族ごっこ〜私に異母兄弟が七人もいる件について〜
「まさか幽霊の正体がタヌキだったなんて……」
「納得というか、拍子抜けというか」
兄さん達は芒に抱かれているタヌキを見つめながら、そろって深い息を吐き出させる。
「あのね、部屋に戻ったら、この子が藤助お兄ちゃんのカバンをあさってて。それで腕時計をくわえて逃げちゃったから追いかけてたの。
ほら、ちゃんとお兄ちゃんに謝ろうね」
そう芒がタヌキに話しかけると、タヌキは芒の言っていることを理解してるみたい。藤助兄さんの方を向き、「ごめんなさい」という芒の声に合わせ、タヌキはぺこりと頭を下げた。
その光景に藤助兄さんは、
「ははっ。まさかタヌキに謝られる日が来るなんて……」
口元を苦ませる。
こうして無事芒を見つけ、山の中から生還した私達は、旅館に戻って来るなり歩き回った疲れもあってか、そろって大きなあくびをした。
「さてと。もう遅いし、寝るとするか」
「おやすみ、牡丹」
そう言って兄さん達は、私一人を残して隣の部屋に行ってしまう。
さてと、私も寝よっと。
布団に横になろうとしたけど、不意に背筋にひやりと悪寒が走った。なんだろう、寒気が止まらない。その瞬間、私は梅吉兄さんが語った怪談話を思い出してしまう。
だけど幽霊の正体は、あのタヌキだったんだもん。そうだよ。大体、幽霊なんている訳ないよね、幽霊なんて……。
「納得というか、拍子抜けというか」
兄さん達は芒に抱かれているタヌキを見つめながら、そろって深い息を吐き出させる。
「あのね、部屋に戻ったら、この子が藤助お兄ちゃんのカバンをあさってて。それで腕時計をくわえて逃げちゃったから追いかけてたの。
ほら、ちゃんとお兄ちゃんに謝ろうね」
そう芒がタヌキに話しかけると、タヌキは芒の言っていることを理解してるみたい。藤助兄さんの方を向き、「ごめんなさい」という芒の声に合わせ、タヌキはぺこりと頭を下げた。
その光景に藤助兄さんは、
「ははっ。まさかタヌキに謝られる日が来るなんて……」
口元を苦ませる。
こうして無事芒を見つけ、山の中から生還した私達は、旅館に戻って来るなり歩き回った疲れもあってか、そろって大きなあくびをした。
「さてと。もう遅いし、寝るとするか」
「おやすみ、牡丹」
そう言って兄さん達は、私一人を残して隣の部屋に行ってしまう。
さてと、私も寝よっと。
布団に横になろうとしたけど、不意に背筋にひやりと悪寒が走った。なんだろう、寒気が止まらない。その瞬間、私は梅吉兄さんが語った怪談話を思い出してしまう。
だけど幽霊の正体は、あのタヌキだったんだもん。そうだよ。大体、幽霊なんている訳ないよね、幽霊なんて……。