天正さんちの家族ごっこ〜私に異母兄弟が七人もいる件について〜
「それにしたって、一体どうやってここを突き止めたの!? いくらテレビで私のことを見たからって、住所まで分かるはず……。
 大体、なんなの。さっきから私のこと、『姉さん』なんて呼んで。今まで一度だって、そんな風に呼んだことない癖に!」

「なんだよ。こっちは気を遣って、せっかくお前の顔を立ててやってたのに。だったら、もういいや。望み通り、普段通りにしてやるよ」

 萩は、私の周りに集まって来ていた兄さん達のことをぐるりと見回す。

「そこにいる人達、お前とは半分だけ血が繋がってるんだっけ? その兄さん達が有名人だったおかげで楽に調べられた。
 今の世の中、本当に怖いよな。ネットで名前を検索するだけで簡単に個人情報が手に入るんだ。射撃に弓道、それから柔道だっけ? それらの大会の入賞記録がさ。そしたらみんな同じ学校だったから校舎の近くをふらついてたら、運良くその一人と接触できて。それで、ここまで連れて来てもらったんだ」

 その一人――桜文兄さんを眺めながら萩は淡々と答える。

「ああ、うん。萩くんを連れて来たのは俺だけど……。
 だって牡丹ちゃんとは友達で、どうしても会いたいって言うから。かわいそうだなあと思って、それで……」

 じとりと恨めし気な視線を送り付ける私に、桜文兄さんはすっかりしどろもどろだ。ごめんねと謝ってくる。

 そんな桜文兄さんを押し退けて、梅吉兄さんが身を乗り出して、
「おい、牡丹。そろそろ教えてくれよ。結局、そいつはお前のなんなんだ?」
と萩のことを指差した。
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