天正さんちの家族ごっこ〜私に異母兄弟が七人もいる件について〜
「それにしても梅吉さん、随分と早く家を出るんですね」
「なに、アイツは朝練だよ。あれでも一応、弓道部のエースだからな。信じられんだろうが」
「へえ。そうなんですか」
「全く、朝っぱらから騒々しい」
かき上げられた前髪のおかげで開けた額からのぞかせているとがった眉と同じくらい、ぎろりと瞳を鋭かせ、道松さんはぼやきながらも淹れ立てのコーヒーを口にする。
天正家長男・道松さん――。
普段は口数が少なくてクールな雰囲気だけど、梅吉さんとは折り合いが悪いのか、事ある毎にケンカが絶えない。二人の争いは日常茶飯事みたい。
「ふわあ……、おはよう」
大きなあくびをしながら部屋の中に入って来た桜文さんは巨体を揺らし、のそのそと自分の席に着く。ちらりと私と目が合うと目尻を下げ、
「おはよう、牡丹ちゃん」
と、もう一度口にした。
天正家三男・桜文さん――。
身長は二メートル近くもあって、天正家一……、ううん、一般の男子高校生の中でも一際背が高く、また、がっしりとした体付きをしている。だけどその見た目とは裏腹、おおらかな性格でおっとりとしてて、ちょっと天然かな。
「おはようございます」
そう堅苦しいあいさつをして入って来たのは、天正家五男・菖蒲さん――。
菖蒲さんは席に着くと、人差し指で、ぐいとずれた銀縁眼鏡を押し上げる。レンズの向こう側には凛とした瞳が宿っている。
菖蒲さんは、とっても真面目で。静かに両手を合わせると、いただきます、とやっぱり丁寧に言ってから箸を持った。
「なに、アイツは朝練だよ。あれでも一応、弓道部のエースだからな。信じられんだろうが」
「へえ。そうなんですか」
「全く、朝っぱらから騒々しい」
かき上げられた前髪のおかげで開けた額からのぞかせているとがった眉と同じくらい、ぎろりと瞳を鋭かせ、道松さんはぼやきながらも淹れ立てのコーヒーを口にする。
天正家長男・道松さん――。
普段は口数が少なくてクールな雰囲気だけど、梅吉さんとは折り合いが悪いのか、事ある毎にケンカが絶えない。二人の争いは日常茶飯事みたい。
「ふわあ……、おはよう」
大きなあくびをしながら部屋の中に入って来た桜文さんは巨体を揺らし、のそのそと自分の席に着く。ちらりと私と目が合うと目尻を下げ、
「おはよう、牡丹ちゃん」
と、もう一度口にした。
天正家三男・桜文さん――。
身長は二メートル近くもあって、天正家一……、ううん、一般の男子高校生の中でも一際背が高く、また、がっしりとした体付きをしている。だけどその見た目とは裏腹、おおらかな性格でおっとりとしてて、ちょっと天然かな。
「おはようございます」
そう堅苦しいあいさつをして入って来たのは、天正家五男・菖蒲さん――。
菖蒲さんは席に着くと、人差し指で、ぐいとずれた銀縁眼鏡を押し上げる。レンズの向こう側には凛とした瞳が宿っている。
菖蒲さんは、とっても真面目で。静かに両手を合わせると、いただきます、とやっぱり丁寧に言ってから箸を持った。