天正さんちの家族ごっこ〜私に異母兄弟が七人もいる件について〜
そんな感じですっかり兄さん達の話題で盛り上がっている中、不意に横から、「よっ!」と声がかかった。
「どうだ、牡丹。新しい学校は」
「梅吉さん!? それに桜文さんも。どうしてここに?」
「移動教室で近くまで来たから、かわいい妹の様子を見に来たんだよ。それにしても。
あのなあ、牡丹。昨日も言ったろう。俺達のことは“お兄ちゃん”と呼べと」
「はあ。それより梅吉さん、ほっぺたにご飯粒付いてますよ」
「なに!? うわっ、本当だ。さっき、おにぎりを食べたからな」
「なあ、梅吉。そろそろ授業が始まるぞ」
「そうだな。そんじゃあ、俺達はもう行くわ」
楽しくやりなよと梅吉さんは、ひらひらと後ろ手に手を振りながら教室から去って行く。
そんな二人の後ろ姿を美竹達は先程以上に瞳を輝かせて見つめていた。
「やっぱりカッコイイ……!!」
女の子達は、すっかり骨抜きになっている。
「牡丹ってば、ずるーい!」
「いいなー!」
なんて声がまた飛び交う。
確かにあの人達、みんな顔はカッコイイとは思う。私と半分だけど血が繋がってるなんて、とても思えないもの。
だけど。
道松さんと梅吉さんはいつもケンカばかりだし、桜文さんは天然でなにを考えているのかよく分からない。藤助さんはお母さんみたいな感じだし、生真面目な菖蒲さんとはまだあまり話したことがない。菊は問題外、すっかり嫌われてるもん。
って、あれ……。私、普通に……とは言っても、話している内容は全然普通じゃないけど。でも、普通に会話してる?
周囲の好奇な視線は変わらないながらも今までとは異なるその色に、私はこっそりと小さな息を吐き出した。
「どうだ、牡丹。新しい学校は」
「梅吉さん!? それに桜文さんも。どうしてここに?」
「移動教室で近くまで来たから、かわいい妹の様子を見に来たんだよ。それにしても。
あのなあ、牡丹。昨日も言ったろう。俺達のことは“お兄ちゃん”と呼べと」
「はあ。それより梅吉さん、ほっぺたにご飯粒付いてますよ」
「なに!? うわっ、本当だ。さっき、おにぎりを食べたからな」
「なあ、梅吉。そろそろ授業が始まるぞ」
「そうだな。そんじゃあ、俺達はもう行くわ」
楽しくやりなよと梅吉さんは、ひらひらと後ろ手に手を振りながら教室から去って行く。
そんな二人の後ろ姿を美竹達は先程以上に瞳を輝かせて見つめていた。
「やっぱりカッコイイ……!!」
女の子達は、すっかり骨抜きになっている。
「牡丹ってば、ずるーい!」
「いいなー!」
なんて声がまた飛び交う。
確かにあの人達、みんな顔はカッコイイとは思う。私と半分だけど血が繋がってるなんて、とても思えないもの。
だけど。
道松さんと梅吉さんはいつもケンカばかりだし、桜文さんは天然でなにを考えているのかよく分からない。藤助さんはお母さんみたいな感じだし、生真面目な菖蒲さんとはまだあまり話したことがない。菊は問題外、すっかり嫌われてるもん。
って、あれ……。私、普通に……とは言っても、話している内容は全然普通じゃないけど。でも、普通に会話してる?
周囲の好奇な視線は変わらないながらも今までとは異なるその色に、私はこっそりと小さな息を吐き出した。