天正さんちの家族ごっこ〜私に異母兄弟が七人もいる件について〜
私は朝の一件を引きずってムカムカしたまま登校したけど、
「牡丹ちゃん、昨日は本当にありがとう」
自分の席に着いたばかりの私に、紅葉ちゃんは手作りのクッキーをくれた。アールグレイの茶葉を生地に練り込んでいるそうで、柑橘の爽やかな香りが優しく鼻をくすぐった。とってもいい匂い。
あの事件のおかげで、良かったことがもう一つあった。それは紅葉ちゃんと仲良くなれたことだ。
食欲に負けて、私は早速紅葉ちゃんがくれたクッキーを一枚だけ食べたけど……、うん、とってもおいしい!
もっと食べたい衝動と戦っていると、ふと頭上から、
「おい」
と、ぶっきら棒な声が降ってきた。顔を上げると、
「げっ、菊!? な、なんの用よ?」
目の前には菊が立っていた。菊が学校で話しかけてくるなんて、なんだろう。突然のことに私は思わず身構えてしまう。
だけど。
「お前になんか用はねえよ」
菊はそう言うと視線を私から隣にいる紅葉ちゃんへと移して、
「おい、紅葉。先輩が呼んでるぞ」
と言った。
「えっ、本当? なんだろう」
「脚本のダメ出しだろう。どうせまた現実離れしたメルヘンなもんでも書いたんだろ」
「えー、メルヘンじゃないよー」
紅葉ちゃんは私に手を振ると、菊と一緒に教室から出て行った。
「牡丹ちゃん、昨日は本当にありがとう」
自分の席に着いたばかりの私に、紅葉ちゃんは手作りのクッキーをくれた。アールグレイの茶葉を生地に練り込んでいるそうで、柑橘の爽やかな香りが優しく鼻をくすぐった。とってもいい匂い。
あの事件のおかげで、良かったことがもう一つあった。それは紅葉ちゃんと仲良くなれたことだ。
食欲に負けて、私は早速紅葉ちゃんがくれたクッキーを一枚だけ食べたけど……、うん、とってもおいしい!
もっと食べたい衝動と戦っていると、ふと頭上から、
「おい」
と、ぶっきら棒な声が降ってきた。顔を上げると、
「げっ、菊!? な、なんの用よ?」
目の前には菊が立っていた。菊が学校で話しかけてくるなんて、なんだろう。突然のことに私は思わず身構えてしまう。
だけど。
「お前になんか用はねえよ」
菊はそう言うと視線を私から隣にいる紅葉ちゃんへと移して、
「おい、紅葉。先輩が呼んでるぞ」
と言った。
「えっ、本当? なんだろう」
「脚本のダメ出しだろう。どうせまた現実離れしたメルヘンなもんでも書いたんだろ」
「えー、メルヘンじゃないよー」
紅葉ちゃんは私に手を振ると、菊と一緒に教室から出て行った。