天正さんちの家族ごっこ〜私に異母兄弟が七人もいる件について〜
「だって先輩、メッセージアプリのIDとかメアドとか聞いても全然教えてくれないって。有名だよね」
「うん。この間も隣のクラスの子が訊いたけど、断られちゃったんだって」
「その点、私達には強い味方・牡丹がいるもんね!」
「道松先輩とメッセージのやりとりしたいんだもん」
そんなこと言われても。私だってまだ道松兄さんとは、そんなに話したことないのにさ。
その上、そんな話を聞かされたら、なおさら自信ないよ。
それなのにみんなは、
「お願い、牡丹! 渡してくれるだけでいいから」
「そう、そう。それ以上は望まないから、ね?」
みんなから必死にお願いされて、私は断り切れず結局受け取ってしまった。
だけど、なんだかなあ……。
こういうの、良くない気がするんだよね。自分の気持ちは自分で伝えるべきなんじゃないかな。間に誰かを挟むのは、誤解を招くことだってあるだろうし。
だけど、みんな、道松兄さんのことが好きなんだよね? 好きな人、か。私には一生縁のない話で。ちょっとだけ、うらやましい気がする。
なんて。そんなの、きっと気のせいだ。だって私は結婚なんかしないで、一人で生きていくって決めてるんだもん。
私は軽く頭を振ると、みんなから預かったラブレターをカバンの中にしまった。
「うん。この間も隣のクラスの子が訊いたけど、断られちゃったんだって」
「その点、私達には強い味方・牡丹がいるもんね!」
「道松先輩とメッセージのやりとりしたいんだもん」
そんなこと言われても。私だってまだ道松兄さんとは、そんなに話したことないのにさ。
その上、そんな話を聞かされたら、なおさら自信ないよ。
それなのにみんなは、
「お願い、牡丹! 渡してくれるだけでいいから」
「そう、そう。それ以上は望まないから、ね?」
みんなから必死にお願いされて、私は断り切れず結局受け取ってしまった。
だけど、なんだかなあ……。
こういうの、良くない気がするんだよね。自分の気持ちは自分で伝えるべきなんじゃないかな。間に誰かを挟むのは、誤解を招くことだってあるだろうし。
だけど、みんな、道松兄さんのことが好きなんだよね? 好きな人、か。私には一生縁のない話で。ちょっとだけ、うらやましい気がする。
なんて。そんなの、きっと気のせいだ。だって私は結婚なんかしないで、一人で生きていくって決めてるんだもん。
私は軽く頭を振ると、みんなから預かったラブレターをカバンの中にしまった。