天正さんちの家族ごっこ〜私に異母兄弟が七人もいる件について〜
時間が過ぎて、学校から家に帰ってきて。晩ご飯も終えて、みんなそれぞれの時間を過ごしている中。
私は落ち着かない気持ちをそのままに、クラスの子達から預かったラブレターを後ろ手に隠し持って、道松兄さんの部屋の前に立っていた。
他の兄さん達がいる前では、なんとなく渡しづらくて。それで私は道松兄さんと二人きりになれるタイミングを見計らっていた。
廊下で待ち続けること数十分。ようやく道松兄さんが現れた。良かった、一人だ。風呂上がりなのか、兄さんは濡れた髪をがしがしとタオルで拭いていた。
私はこのチャンスを逃したらだめだと自分に言い聞かせると、いざ兄さんに渡そうとしたけど……。なんだか自分のことみたいにドキドキしてきた。
それでも私は意を決すると、部屋に入ろうとしていた兄さんを呼び止めた。
「あ? なんだよ、牡丹」
「あの、これ……」
「なんだ、これは」
「なにって、えっと……。クラスの子達が兄さんにって」
怪訝な顔をしている兄さんに、私はラブレターだって、そう伝える。
すると兄さんは眉間に皺を寄せ、
「いらん」
即座に言い放った。
その低い声音は、私の頭を思い切り揺らした。
私は落ち着かない気持ちをそのままに、クラスの子達から預かったラブレターを後ろ手に隠し持って、道松兄さんの部屋の前に立っていた。
他の兄さん達がいる前では、なんとなく渡しづらくて。それで私は道松兄さんと二人きりになれるタイミングを見計らっていた。
廊下で待ち続けること数十分。ようやく道松兄さんが現れた。良かった、一人だ。風呂上がりなのか、兄さんは濡れた髪をがしがしとタオルで拭いていた。
私はこのチャンスを逃したらだめだと自分に言い聞かせると、いざ兄さんに渡そうとしたけど……。なんだか自分のことみたいにドキドキしてきた。
それでも私は意を決すると、部屋に入ろうとしていた兄さんを呼び止めた。
「あ? なんだよ、牡丹」
「あの、これ……」
「なんだ、これは」
「なにって、えっと……。クラスの子達が兄さんにって」
怪訝な顔をしている兄さんに、私はラブレターだって、そう伝える。
すると兄さんは眉間に皺を寄せ、
「いらん」
即座に言い放った。
その低い声音は、私の頭を思い切り揺らした。