天正さんちの家族ごっこ〜私に異母兄弟が七人もいる件について〜
「道松兄さんのお世話係?」
「はい。道松様がここ、豊島家にいらっしゃった時は、道松様のお母様である松音様に代わりまして、私が道松様のお世話をさせていただきました」
お登勢さんが兄さんのお母さん代わり? それじゃあ……。
「兄さんのお母さんは……」
お登勢さんは、すっ……と目を伏せ、
「道松様と松音様は……、一緒にいることは許されていませんでしたので」
だから自分が兄さんの面倒を見ていたのだ、とお登勢さんは教えてくれる。
「豊島家は由緒正しい家柄で、なによりも血筋を大切にしております。ですから、どこの誰かも分からぬ殿方――道松様のお父上のことですが、そのような殿方との間に生まれた道松様を当主にはできないと。それで道松様は、豊島家を勘当されたのでございます」
お登勢さんは重たい口調で話を続ける。
そんな事情で豊島家を追い出させた道松兄さんだったけど、三年ほど前、兄さんのお母さんが亡くなったことで状況が変わったみたい。兄さんが豊島家を出た後、兄さんのお母さんは無理矢理一族の人達が決めた相手と結婚させられたけど、子宝には恵まれなくて。それで跡継ぎ問題が浮上したんだとか。
「本家の血を途絶えさせるよりは、とお考えになられたのでしょう。旦那様方は道松様を豊島家に復縁なさることをお決めになられたのですが、一方の道松様は拒絶なされて。それで道松様は今も天正家で暮らしておられるのです」
お登勢さんは語り終えると深々と頭を下げ、それから部屋を出て行った。
「はい。道松様がここ、豊島家にいらっしゃった時は、道松様のお母様である松音様に代わりまして、私が道松様のお世話をさせていただきました」
お登勢さんが兄さんのお母さん代わり? それじゃあ……。
「兄さんのお母さんは……」
お登勢さんは、すっ……と目を伏せ、
「道松様と松音様は……、一緒にいることは許されていませんでしたので」
だから自分が兄さんの面倒を見ていたのだ、とお登勢さんは教えてくれる。
「豊島家は由緒正しい家柄で、なによりも血筋を大切にしております。ですから、どこの誰かも分からぬ殿方――道松様のお父上のことですが、そのような殿方との間に生まれた道松様を当主にはできないと。それで道松様は、豊島家を勘当されたのでございます」
お登勢さんは重たい口調で話を続ける。
そんな事情で豊島家を追い出させた道松兄さんだったけど、三年ほど前、兄さんのお母さんが亡くなったことで状況が変わったみたい。兄さんが豊島家を出た後、兄さんのお母さんは無理矢理一族の人達が決めた相手と結婚させられたけど、子宝には恵まれなくて。それで跡継ぎ問題が浮上したんだとか。
「本家の血を途絶えさせるよりは、とお考えになられたのでしょう。旦那様方は道松様を豊島家に復縁なさることをお決めになられたのですが、一方の道松様は拒絶なされて。それで道松様は今も天正家で暮らしておられるのです」
お登勢さんは語り終えると深々と頭を下げ、それから部屋を出て行った。