天正さんちの家族ごっこ〜私に異母兄弟が七人もいる件について〜
どうしよう。私は、ちらりと隣に立っている兄さんの顔を盗み見る。
すると。
「ふざけんなよっ……!!」
兄さんののど奥から、ひどく低い声音がもれる。瞳はいつも以上にぎろりと光り、兄さんは私から預かった刀の柄をつかみ鞘を引っこ抜くと、白刃をひらめかせた。そして私の右手をつかむと、ぐいと引っ張って……。
「どけーっ!!」
「みっ、道松兄さん!?」
兄さんは本気だ。兄さんはぶんぶんと刀を振り回しながら人の壁に向かって突進する。邪魔する人がいたら躊躇なく斬り付ける気だ。
私は、
「どいてーっ!!」
と心の底から叫ぶ。どうか兄さんを犯罪者にしないでっ!!
私の願いが叶ったのか、使用人達はすんなり道を開けてくれた。兄さんと私は勢いを殺すことなく、どんどん突き進んで行く。
だけど出口である門まであと少しという所で、突然目の前にまた壁が現れた。
その壁の正体は、
「おじいさん……」
おじいさんを前にして、兄さんの足がようやく止まった。兄さんは、おじいさんのことを鋭く睨み付けた。
「よくも妹を誘拐してくれたな……!」
「誘拐だと? 人聞きの悪い。家に招待しただけだ」
「無理矢理連れて来て招待だと? はんっ、笑わせるぜ。相変わらずやることが姑息だな」
「こうでもしないと、お前が来ないからだ」
「当たり前だ! 誰がこんな腐った所に好んで来るかっ!!」
「腐っている、か。お前こそ、その小娘が妹だと? ……本当にそう思っているのか?」
今度はおじいさんが、兄さんのことを強靭な瞳で睨み付ける。
おじいさんは相変わらず鋭い目付きで私のことをじろじろと眺めて、
「バカバカしい!」
そう吐き捨てた。
すると。
「ふざけんなよっ……!!」
兄さんののど奥から、ひどく低い声音がもれる。瞳はいつも以上にぎろりと光り、兄さんは私から預かった刀の柄をつかみ鞘を引っこ抜くと、白刃をひらめかせた。そして私の右手をつかむと、ぐいと引っ張って……。
「どけーっ!!」
「みっ、道松兄さん!?」
兄さんは本気だ。兄さんはぶんぶんと刀を振り回しながら人の壁に向かって突進する。邪魔する人がいたら躊躇なく斬り付ける気だ。
私は、
「どいてーっ!!」
と心の底から叫ぶ。どうか兄さんを犯罪者にしないでっ!!
私の願いが叶ったのか、使用人達はすんなり道を開けてくれた。兄さんと私は勢いを殺すことなく、どんどん突き進んで行く。
だけど出口である門まであと少しという所で、突然目の前にまた壁が現れた。
その壁の正体は、
「おじいさん……」
おじいさんを前にして、兄さんの足がようやく止まった。兄さんは、おじいさんのことを鋭く睨み付けた。
「よくも妹を誘拐してくれたな……!」
「誘拐だと? 人聞きの悪い。家に招待しただけだ」
「無理矢理連れて来て招待だと? はんっ、笑わせるぜ。相変わらずやることが姑息だな」
「こうでもしないと、お前が来ないからだ」
「当たり前だ! 誰がこんな腐った所に好んで来るかっ!!」
「腐っている、か。お前こそ、その小娘が妹だと? ……本当にそう思っているのか?」
今度はおじいさんが、兄さんのことを強靭な瞳で睨み付ける。
おじいさんは相変わらず鋭い目付きで私のことをじろじろと眺めて、
「バカバカしい!」
そう吐き捨てた。