天正さんちの家族ごっこ〜私に異母兄弟が七人もいる件について〜
「うっ、菖蒲(あやめ)。それは、そうだけどさ……」

 菖蒲さんとかいう賢そうなイケメンの言葉に藤助さんが落ち込んでいると、
「ねえ、牡丹ちゃんが来たんだって? ……っと、ああ、君が牡丹ちゃんだよね。俺、桜文(はるふみ)っていうんだ」

 最後に部屋に入って来た、大柄な体の割には穏やかな顔立ちをしたイケメンが、よろしくと私に向かって手を差し出してきた。

「はあ、こちらこそ」

 そう言って私は桜文さんの手を握り返した。

 けど。

「……って、ちょっと待ってください! あの、みなさんは一体……」

 私は、部屋に集まり出したイケメン達をぐるりと見回す。

 この人達、一体なんなの!? よろしくって、どういうこと?

 私が首を左右に回していると、
「本当になにも聞いてないのか? ったく、じいさんも仕方ねえなあ」

 梅吉さんは一つ乾いた息を吐いてから、
「あのな、ここにいる俺達全員、牡丹とは血が繋がってるんだよ」
 私の目を見すえて、そう言った。
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