天正さんちの家族ごっこ〜私に異母兄弟が七人もいる件について〜
放課後になって――。
今日は久し振りに部活が休みで、私はいつもより早い時間に帰路を歩いていた。
それにしても。
栞告、梅吉兄さんとデートできるって、まだまだ先の話だけど、それでも、とってもうれしそうだったな。
デート、か。……私には無縁の話だ。
だけどデートって、なにをするんだろう。遊園地や水族館に行ったり、映画を観に行ったりとかかな。あとはカフェでお茶をしながらおしゃべりしたり? ……なんて、やっぱり私にはよく分からないや。
そんなことを考えながら歩いていると、ふと前方に見知った姿が目に入った。それは噂をしてればなんとやら、梅吉兄さんで。兄さんも部活、休みだったのかな。公園のベンチに腰をかけてスマホをいじっていた。
どうしたんだろう。家に帰らないのかな。
私は兄さんに近付き、
「梅吉兄さん、こんな所でなにしてるんですか?」
と訊ねた。すると兄さんは私に気が付いて、スマホの画面から顔を上げた。
「おっ。なんだ、牡丹か。なにって、そんなの決まってるだろう」
梅吉兄さんは、にたりと白い歯をのぞかせる。それから口を大きく開いていったけど、
「梅吉、お待たせー!」
「ごめんね、梅吉。遅くなっちゃったあー」
と、それぞれ別のデザインの制服に身を包んだ女の人が二人、二方向から現れて、兄さんの前でぴたりと止まった。
女の子達はお互いの顔を見るなり、
「……はあ? アンタ、誰よ」
「そう言うあなたこそ。どこの誰かしら?」
彼女達は目が合うと、一瞬の内に互いに悟ったんだろう。バチバチと激しい火花を放ち合う。
こういうのを修羅場って言うんだよね?
まさに修羅場下にいる兄さんは、めずらしく眉尻を下げていた。
そして、
「げっ、まずった。ダブルブッキングかよ……」
口先で小さく呟いた。
今日は久し振りに部活が休みで、私はいつもより早い時間に帰路を歩いていた。
それにしても。
栞告、梅吉兄さんとデートできるって、まだまだ先の話だけど、それでも、とってもうれしそうだったな。
デート、か。……私には無縁の話だ。
だけどデートって、なにをするんだろう。遊園地や水族館に行ったり、映画を観に行ったりとかかな。あとはカフェでお茶をしながらおしゃべりしたり? ……なんて、やっぱり私にはよく分からないや。
そんなことを考えながら歩いていると、ふと前方に見知った姿が目に入った。それは噂をしてればなんとやら、梅吉兄さんで。兄さんも部活、休みだったのかな。公園のベンチに腰をかけてスマホをいじっていた。
どうしたんだろう。家に帰らないのかな。
私は兄さんに近付き、
「梅吉兄さん、こんな所でなにしてるんですか?」
と訊ねた。すると兄さんは私に気が付いて、スマホの画面から顔を上げた。
「おっ。なんだ、牡丹か。なにって、そんなの決まってるだろう」
梅吉兄さんは、にたりと白い歯をのぞかせる。それから口を大きく開いていったけど、
「梅吉、お待たせー!」
「ごめんね、梅吉。遅くなっちゃったあー」
と、それぞれ別のデザインの制服に身を包んだ女の人が二人、二方向から現れて、兄さんの前でぴたりと止まった。
女の子達はお互いの顔を見るなり、
「……はあ? アンタ、誰よ」
「そう言うあなたこそ。どこの誰かしら?」
彼女達は目が合うと、一瞬の内に互いに悟ったんだろう。バチバチと激しい火花を放ち合う。
こういうのを修羅場って言うんだよね?
まさに修羅場下にいる兄さんは、めずらしく眉尻を下げていた。
そして、
「げっ、まずった。ダブルブッキングかよ……」
口先で小さく呟いた。