天正さんちの家族ごっこ〜私に異母兄弟が七人もいる件について〜
「本当にやめた方がいいですよ、女の子と遊ぶの。兄さん、私のクラスの子にも手を出してますよね」

「手を出してるなんて失礼な言い方だなあ。牡丹のクラスって、ああ、栞告ちゃんのことか。
 そんなこと言われたって、栞告ちゃんの方から言ってきたんだぞ。『今度、デートしてください』って。顔を真っ赤にさせて、かわいかったなあ」

「もう、兄さんってば!」

「なんだよ。別に俺、牡丹に迷惑かけて……」

「ないだろう」兄さんはそう言うつもりだったんだろう。だけどその前に、
「ます!」
と私は強く言い放った。すると兄さんはめずらしくたじろいだのを私は見逃さず、

「駒重さんの時みたいに、また勘違いされるの嫌ですからね」
と追い討ちをかける。

 兄さんは一つ乾いた息を吐き出して、
「分かったよ」そう言ってくれた。

 その返答に、ほっと胸をなで下ろしたのも束の間。兄さんは、ぐいと私の方に顔を近付けてきた。

 その上、
「牡丹がちゅーしてくれたら、やめてやるよ」

「はあ……?」

 なんでそういう話になるの……? 訳分かんない! 兄さん、私のこと、バカにしてる――っ!!

 私は、
「もういいです!」
 くるりと兄さんに背を向けるとそのままリビングを飛び出し、怒り任せに扉を閉めた。
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