天正さんちの家族ごっこ〜私に異母兄弟が七人もいる件について〜
兄さんってば、やめる気なんて全くないじゃない……!! 私はドスドスと階段を強く踏み締めながら上がって行く。
最後の一段を上り終えると廊下に菊が立っていた。菊は私のことを鋭く見すえる。
「お前、カウンセラーにでもなるつもりか?」
「カウンセラー?」
菊ってば、きっとリビングでの私と梅吉兄さんとのやり取りを聞いていたんだと思う。
別にそういうつもりじゃ……。ただ兄さんにとっても良くないって、そう思うからで。
だけど菊は、
「そういうの、余計なお世話、お節介っつうんだよ。なに考えてんだか知らないが、放っておけよ」
そう言い残すと私を置き去りに、自分の部屋に入って行った。
確かに菊の言うことも分かる。だけど。
理由、か。それは多分梅吉兄さんが、私の想像上のお父さんのイメージと近いから。顔も名前も全く分からないお父さんと重ねてしまっているからで、だから私は、私はきっと兄さんを……。
言葉に出してしまえば、きっと楽になれたと思う。だけど、どうしてだかそれはしたくなかった。
私はその場に突っ立ったまま代わりに下唇を噛み、拳をぎゅっと握り締めた。
最後の一段を上り終えると廊下に菊が立っていた。菊は私のことを鋭く見すえる。
「お前、カウンセラーにでもなるつもりか?」
「カウンセラー?」
菊ってば、きっとリビングでの私と梅吉兄さんとのやり取りを聞いていたんだと思う。
別にそういうつもりじゃ……。ただ兄さんにとっても良くないって、そう思うからで。
だけど菊は、
「そういうの、余計なお世話、お節介っつうんだよ。なに考えてんだか知らないが、放っておけよ」
そう言い残すと私を置き去りに、自分の部屋に入って行った。
確かに菊の言うことも分かる。だけど。
理由、か。それは多分梅吉兄さんが、私の想像上のお父さんのイメージと近いから。顔も名前も全く分からないお父さんと重ねてしまっているからで、だから私は、私はきっと兄さんを……。
言葉に出してしまえば、きっと楽になれたと思う。だけど、どうしてだかそれはしたくなかった。
私はその場に突っ立ったまま代わりに下唇を噛み、拳をぎゅっと握り締めた。