天正さんちの家族ごっこ〜私に異母兄弟が七人もいる件について〜
昨日の夜、夕飯の後に、自分の部屋でこっそり食べた駒重さんのカップケーキは、とってもおいしかった。梅吉兄さんがおいしいって、そう言っていたのがよく分かった。
だけど、それと同時に駒重さんの話通り、兄さんはきっと――……。
知ってしまった真実を私はどう処理したらいいのか分からず、次の日になっても、結局そのままにしていた。カップケーキみたいに食べられたら良かったのに。口からは自然とため息が出てくる。
すると向かい側に座っていた美竹が箸を止めて、
「牡丹ってば、どうしたの? ぼーっとして。食欲がないなら、アタシが代わりに牡丹のお弁当を食べてあげるよ」
美竹は返事をする前に、勝手に私のお弁当へと箸を伸ばす。
「あーっ!? 卵焼きだけはダメーっ!!」
もう、美竹ってば! 油断も隙もないんだから。誰もいらないなんて一言も言ってないじゃん。
いくら悩んでても食欲はあるんだから。私は美竹に食べられない内にと箸を動かし出す。
だけど、ふと教室の一角から歓声が上がった。音のした方に顔を向けると、中心にいたのは栞告で、
「梅吉先輩、急に予定が空いたから、今日の放課後、デートしてくれることになったの!」
栞告、とってもうれしそう。だけど、でも。
やっぱり……。やっぱりこんなのおかしいよ……!
放課後になって剣道場へと向かっていた私だけど、気付けば来た道を引き返し、学校を飛び出していた。
だけど、それと同時に駒重さんの話通り、兄さんはきっと――……。
知ってしまった真実を私はどう処理したらいいのか分からず、次の日になっても、結局そのままにしていた。カップケーキみたいに食べられたら良かったのに。口からは自然とため息が出てくる。
すると向かい側に座っていた美竹が箸を止めて、
「牡丹ってば、どうしたの? ぼーっとして。食欲がないなら、アタシが代わりに牡丹のお弁当を食べてあげるよ」
美竹は返事をする前に、勝手に私のお弁当へと箸を伸ばす。
「あーっ!? 卵焼きだけはダメーっ!!」
もう、美竹ってば! 油断も隙もないんだから。誰もいらないなんて一言も言ってないじゃん。
いくら悩んでても食欲はあるんだから。私は美竹に食べられない内にと箸を動かし出す。
だけど、ふと教室の一角から歓声が上がった。音のした方に顔を向けると、中心にいたのは栞告で、
「梅吉先輩、急に予定が空いたから、今日の放課後、デートしてくれることになったの!」
栞告、とってもうれしそう。だけど、でも。
やっぱり……。やっぱりこんなのおかしいよ……!
放課後になって剣道場へと向かっていた私だけど、気付けば来た道を引き返し、学校を飛び出していた。