天正さんちの家族ごっこ〜私に異母兄弟が七人もいる件について〜
部活も終わって、その帰り道。偶然、道松兄さんと梅吉兄さんの二人に出会して。朝方の続きと言えばいいのかな。兄さん達は顔を見合わせると、やっぱりケンカを始めた。
「俺が牡丹と帰ってたんだぞ! 邪魔するなよ」
「お前こそ牡丹が嫌がってるだろ、くっつくな! それにバカが移ったらどうするんだ!」
ああ、もう。うるさいなあ。家に着いても二人のケンカは終わらない。せめて私を間に挟まないでほしいよ。
いつになったら止まるんだろうと淡い期待を抱きながらもリビングに入ると、カタカタと聞き慣れない音がしていた。音の出所は藤助兄さんだ。兄さんがミシンを使って、なにやら縫っていた。
「おかえり、牡丹。あれ、梅吉と道松も一緒なんだ。めずらしいね。
さてと。みんな帰って来たし、ご飯にするね。ほら、道松も梅吉もいつまでもケンカを続けるなら夕飯抜きにするよ」
藤助兄さんは、やっぱり容赦なく二人に言い放つ。それからミシンを動かしていた手を止めると立ち上がり、キッチンに入ってお鍋を温め直した。
私も兄さんに続いてキッチンに入り、炊き上がったばかりの白米をお茶碗によそっていく。
「藤助兄さん、なにを作っているんですか?」
「芒の衣装だよ。今度、小学校の学芸会で演劇発表があるから」
へえ、そうなんだ。兄さんがその衣装を作るんだ。
藤助兄さんって、本当に手先が器用だな。お料理もお裁縫も、なんでもできちゃうんだもん。
テーブルに次々と料理が並んでいき、みんなもそろって準備が整った矢先。プルル……と着信音が鳴った。芒がひょいとイスから立ち上がって電話を取る。
数回の受け答えの後、
「藤助お兄ちゃん、おじいちゃんから電話だよ」
「えっ、天羽さんから!?」
藤助兄さんは天羽さんの名前を聞いた途端、慌ただしい態度で芒から受話器を受け取ると、すぐに耳にあてがえた。
「俺が牡丹と帰ってたんだぞ! 邪魔するなよ」
「お前こそ牡丹が嫌がってるだろ、くっつくな! それにバカが移ったらどうするんだ!」
ああ、もう。うるさいなあ。家に着いても二人のケンカは終わらない。せめて私を間に挟まないでほしいよ。
いつになったら止まるんだろうと淡い期待を抱きながらもリビングに入ると、カタカタと聞き慣れない音がしていた。音の出所は藤助兄さんだ。兄さんがミシンを使って、なにやら縫っていた。
「おかえり、牡丹。あれ、梅吉と道松も一緒なんだ。めずらしいね。
さてと。みんな帰って来たし、ご飯にするね。ほら、道松も梅吉もいつまでもケンカを続けるなら夕飯抜きにするよ」
藤助兄さんは、やっぱり容赦なく二人に言い放つ。それからミシンを動かしていた手を止めると立ち上がり、キッチンに入ってお鍋を温め直した。
私も兄さんに続いてキッチンに入り、炊き上がったばかりの白米をお茶碗によそっていく。
「藤助兄さん、なにを作っているんですか?」
「芒の衣装だよ。今度、小学校の学芸会で演劇発表があるから」
へえ、そうなんだ。兄さんがその衣装を作るんだ。
藤助兄さんって、本当に手先が器用だな。お料理もお裁縫も、なんでもできちゃうんだもん。
テーブルに次々と料理が並んでいき、みんなもそろって準備が整った矢先。プルル……と着信音が鳴った。芒がひょいとイスから立ち上がって電話を取る。
数回の受け答えの後、
「藤助お兄ちゃん、おじいちゃんから電話だよ」
「えっ、天羽さんから!?」
藤助兄さんは天羽さんの名前を聞いた途端、慌ただしい態度で芒から受話器を受け取ると、すぐに耳にあてがえた。