天正さんちの家族ごっこ〜私に異母兄弟が七人もいる件について〜
 今日は部活も休みで、その日の私は家でのんびり過ごしていた。

 宿題と予習は午前中に片付けちゃったから、午後はすっきりとした気分で美竹が貸してくれたCDを聴いていたけど、小腹が空いたな。甘い物がたべたくなっちゃった。確か冷蔵庫の中にアイスがあったはず。

 部屋を出てリビングに入ると、買い物袋を持った藤助兄さんがいた。

 だけど。

「あっ、牡丹。買い物に行ってくるけど、欲しい物ある?」

「いえ、ありませんが……。
 それより藤助兄さん、顔色悪くないですか?」

「えっ、そう?」

「なんだか青白いですよ」

「うーん。いつもと変わらないと思うけど」

 藤助兄さんは困ったような顔をする。だけど私にはそう見えるんだもん。それに声だって覇気が感じられない。

 藤助兄さん、ここ最近、芒の衣装作りのために夜遅くまで起きてるみたいで。その上、朝だって早くて、ろくに休んでないんじゃないかな。

 まあ、兄さん本人がなんともないって言うなら……。

 だけど次の瞬間、ばたんっ! と大きな音がした。その音に私の肩は大きく跳ね上がり、同じように跳ね上がった心臓をそのままに振り返ると、床に倒れ込んだ藤助兄さんの姿があった。
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