空前のクソ妹ブームにのっかってみたところ。
本編
「お姉さま。今、空前のクソ妹ブームがきているそうです」
 突然、人の部屋に入ってくるなり、妹のニコレッタが言い出した。

「何なの、それ?」
 自室で本を読んでいた姉のアドリアーナは首だけ向けて、尋ねた。

「私が、お姉さまの婚約者を譲れ、って騒ぐのです」

 ニコレッタが不敵な笑みを浮かべて言う。そして。

「お姉さまの婚約者王太子ベルンハルト様を、私に譲ってください。お姉さまとは釣り合いません。ベルンハルト様に釣り合うような女性は、私しかいませんわ」
 ニコレッタは腕を組み、威圧的に言った。

 姉のアドリアーナは深く大きくため息をつく。
「それは、お父さまが決めることよ」

「お父さまにはもう言いました。このマンフレディ家の娘が婚約者であることにかわらなければ、お姉さまでも私でも、どちらでも構わないって言っていらしたわ」
< 1 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop