空前のクソ妹ブームにのっかってみたところ。
 ニコレッタは父親を味方につけたからか、より高圧的な態度をとり、椅子に座っているアドリアーナを見下ろす。
「きちんとお姉さまには自分から言いなさい、とも言われました。だから今、私はお姉さまのところに来ましたの」

「そう」
 アドリアーナは読んでいた本をパタリと閉じて、机の上に置く。そして、立ち上がる。

 そしてこの妹は昔からそうだった。人のものをうらやましがり、そして欲しがる。そのたびにアドリアーナは妹に譲っていた。

 いや、譲っていたのではない、分け合っていたのだ。
 一つしかないものは半分こ。二つあるものは一つずつ。

 だって、一人しかいない可愛い妹なのだから。

 ニコレッタは、自由奔放、我がまま、という言葉が似合う子。でも、可愛いく、気持ちも優しく、そして素直。
 そんな気持ちが優しいところが、アドリアーナは好きだった。そして素直すぎるため、変な人に騙されないように、しっかりと妹を守らなければならない、と思っていた。

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