純恋歌
向けて
季節は12月、受験生にはクリスマスなんてものは存在しないのです。
一歩街を歩けばカップル。
ふと隣を見たらカップル。
クラスもチラッと見たらあいつとこいつはカップル。
どいつもこいつもイチャイチャしやがって。
「付き合う事になったぁ…うふふ」
12月半ばになり拓郎が気持ち悪い笑顔で報告してきた。
「へえへえ良かったざんすね」
失恋ボーイの僕は素直におめでとうが言えませんでした。
「ずっと好きだったから嬉しい」
「ずっとって、いつから?高校入学してから?」
「小学校から」
その言葉に飲んでた茶吹いた。
「長くね?つか、そんな昔から知り合ってたの?」
「えへへ」
顔を綻んで喜ぶ拓郎の姿を見てこっちも幸せな気持ちになった。
「ほんと良かったな」
「えへへ」
「って、言うとでも思ったのかよー!」
そう言って拓郎の首を絞めてギャーギャー教室で騒いだ。
進路は特に県外に行きたいとかはなく県内の大学に絞った。
「おめでとう!無事合格出来て良かったな!」
合格発表で番号を確認後、すぐに電話で井上先生に報告した。
高校の卒業式、みんな泣かないだろうし僕も泣かないだろうと思ったら森山直太朗のさくらを歌ってたらいつの間にか号泣して、また僕の号泣にどんどんとクラスのみんなも釣られて泣いてた。女子より男子のが泣いてた。
ぴーこら泣きながら歩く僕は校門を出ても涙が止まらなかった。
目を真っ赤に腫らし目がまともに開かない僕は幻を見た。
校門の外にベージュのパンツスーツを見に纏った美咲さんが居るように見えた。
蜃気楼と同じ類いのやつだと思った。
(いやいやまさかね)
そう思いながらも怖いもの見たさに一歩一歩進んで行った。
「おす!弟よ!卒業祝いに来てやったぞ」
ほんのり香る優しいバニラの匂いが僕の鼻先にかすった。
「この匂いは……お姉ちゃん!」
「匂いで判別するんかい!まあまあそれにしてもこんなに泣いてから」
そう言って僕の涙をハンカチで拭いてくれた。
一歩街を歩けばカップル。
ふと隣を見たらカップル。
クラスもチラッと見たらあいつとこいつはカップル。
どいつもこいつもイチャイチャしやがって。
「付き合う事になったぁ…うふふ」
12月半ばになり拓郎が気持ち悪い笑顔で報告してきた。
「へえへえ良かったざんすね」
失恋ボーイの僕は素直におめでとうが言えませんでした。
「ずっと好きだったから嬉しい」
「ずっとって、いつから?高校入学してから?」
「小学校から」
その言葉に飲んでた茶吹いた。
「長くね?つか、そんな昔から知り合ってたの?」
「えへへ」
顔を綻んで喜ぶ拓郎の姿を見てこっちも幸せな気持ちになった。
「ほんと良かったな」
「えへへ」
「って、言うとでも思ったのかよー!」
そう言って拓郎の首を絞めてギャーギャー教室で騒いだ。
進路は特に県外に行きたいとかはなく県内の大学に絞った。
「おめでとう!無事合格出来て良かったな!」
合格発表で番号を確認後、すぐに電話で井上先生に報告した。
高校の卒業式、みんな泣かないだろうし僕も泣かないだろうと思ったら森山直太朗のさくらを歌ってたらいつの間にか号泣して、また僕の号泣にどんどんとクラスのみんなも釣られて泣いてた。女子より男子のが泣いてた。
ぴーこら泣きながら歩く僕は校門を出ても涙が止まらなかった。
目を真っ赤に腫らし目がまともに開かない僕は幻を見た。
校門の外にベージュのパンツスーツを見に纏った美咲さんが居るように見えた。
蜃気楼と同じ類いのやつだと思った。
(いやいやまさかね)
そう思いながらも怖いもの見たさに一歩一歩進んで行った。
「おす!弟よ!卒業祝いに来てやったぞ」
ほんのり香る優しいバニラの匂いが僕の鼻先にかすった。
「この匂いは……お姉ちゃん!」
「匂いで判別するんかい!まあまあそれにしてもこんなに泣いてから」
そう言って僕の涙をハンカチで拭いてくれた。